大藪賞候補になった深町秋生著『地獄の犬たち』。警察小説の枠組みを超えたあの問題作が漫画となって連載スタート。イイヅカケイタ(著者) / 深町秋生(原作)
第1話ネタバレ(※グロ注意)
沖縄県本部町。二人の男がターゲットがアパートから出てくるのを見張っている。二人の男の名前は「兼高昭吾(かねたかしょうご)」と「室岡秀喜(むろおかひでき)」。関東組織暴力団・東鞘会神津組の若頭補佐と組員である。
二人が狙うターゲットは「喜納修三」。二人の護衛を付けてアパートから出てくるのを兼高たちは確認する。
兼高たちの目的は喜納を誰にも気づかれることなく拉致すること。二人は喜納と護衛三人に車で突っ込み襲撃する。髭を生やした護衛の一人が銃を構える。その銃を持つ護衛の左手を兼高はトルクレンチで思い切り打ち込む。
護衛の左手の手首は折れ、ブラリと垂れ下がる。ペースを握られないため喜納は手を叩き、瞬間的に兼高の注目を寄せる。その瞬間、髭の護衛が兼高の肩付近に強烈なパンチを打ち込む。しかしすぐさま兼高はトルクレンチを護衛の顔面に叩き込む。兼高は地面に膝をつく護衛の脳天にトルクレンチを躊躇なく振り落とす。
一方、室岡はスキンヘッドの護衛と対峙する。スキンヘッドはプロのボディーガードであり、メリケンとサバイバルナイフを融合させたような特殊ナイフを構える。対する室岡はマイナスドライバーの先端を削り鋭利に加工した武器を持つ。スキンヘッドの男は室岡の貧相な武器を鼻で笑い、死を宣告する。しかし次の瞬間、地面に倒れていたのはスキンヘッドの男だった。
喜納は土下座し命乞いをする。が次の瞬間、室岡の目に土を投げつけ、兼高には自らの血液をかけ、二人の視界をふさぐ。そして地面に転がる銃を拾い構える。その瞬間、兼高のトルクレンチが喜納の頭部に打ち込まれる。そして意識を失った喜納たちを拘束し車に積み込む。
移動中、兼高はある男に喜納の拉致に成功したことをある男に報告する。この依頼は識名建設社長の「識名武」によるものだった。
識名は学生時代、喜納にさんざん苦渋を味わされた恨みを持っていたため、復習を兼高たちに依頼したのだ。兼高たちが向かった先では、三人の男たちが出迎える。
彼らのミッションは喜納たちの死体を埋めるための穴を用意し、埋めること。兼高は喜納たちを確認する。スキンヘッドの男はすでに死亡。髭の護衛は泣きながら死にたくないと命乞いをする。
一方、穴を確認する室岡は言う。「浅くね?」一人の男が言う「えっ浅いっすか?」それを聞いた瞬間、兼高は髭の護衛の眉間をトルクレンチで目玉が飛び出すほど思い切り叩き込む。
そして穴を掘った男の頭を掴み、その目玉が飛び出た護衛の顔の目の前に持っていき、忠告する。万が一、死体が顔を出したらお前らにも埋まってもらう、と。
そこに室岡が提案する。こんな浅い穴を掘ったやつらは信用できない…こいつらも埋めよう、と。兼高もそれに同意する。土下座して謝る三人。そこで兼高と室岡はトルクレンチとマイナスドライバーを差し出し、喜納を思いっきり攻撃しろと命令する
躊躇する三人。それに対し室岡がつぶやく。やらない奴からショベルでミンチにして埋めましょう。そのうち絶対口割りますよ。その言葉を聞いて顔色が変わる三人。その三人は喜納と繋がっていたのだ。
そこからは泣きながら 殴る刺すを繰り返し、喜納を殺害する三人。
兼高は三人に殺害の罪を負わせ、今回の口止めを行った。ミッションを終えた兼高と室岡は識名のもとに出向き、喜納の無残な死体の写真を見せる。
それを見て泣いて喜ぶ識名。そして仕事を終え、宿泊先に戻る兼高。ホテルに着くや否や、口を押えて部屋に走る兼高。部屋のトイレに入った瞬間、嘔吐する。死体を思い出しては繰り返し吐く。「いい加減…慣れてくれてもいいだろう?」
シャワーを浴びながら兼高は回想する。「お前に人が殺せるか?出月梧郎巡査部長」兼高は警察組織から関東組織暴力団東鞘会神津組に潜入するため兼高昭吾になったのだ。兼高昭吾になって3年半…この地獄はいつ終わる?
感想
非常で残酷で、そして哀しい…そんな主人公の闇が際立つ作品です。その表現は生々しく、読んでいて「死」への恐怖を感じてしまいます。男たちの壮絶な生き様に激しく心を揺さぶられるこの作品。次回が非常に楽しみです。
【次回更新予定】2020年5月04日