魅力的なキャラクターとロマン溢れる「神様はじめました」

概要

「神様はじめました」は鈴木ジュリエッタによるファンタジー少女漫画。白泉社発行の月刊花とゆめにて2008年から2016年まで連載されていた。全25巻。2012年と2015年にはテレビアニメが放送され、2015年には舞台化もされている。

登場人物紹介

桃園奈々生(ももぞの ななみ)

明るく元気だが苦労人の高校2年生。幼い頃に母と死別し父と二人暮らしをしていたがギャンブル好きの父親が借金を残したまま蒸発。家を失いホームレス状態になっていたところ、あるきっかけから縁結びの神社の土地神となり、生き神兼女子高生となる。

巴衛(ともえ)

銀髪で頭から狐の耳が生えた男。もともとは奈々生の先代に仕える神使だったが、代替わりしたため現在は奈々生の神使。神使になる前は野狐で悪友とともに地域を荒らしまわっていた。性格はひねくれていてぶっきらぼうだが、なんだかんだ面倒見が良く優しい。

瑞樹(みずき)

奈々生と巴衛とは別の神社の神使。本来の姿は白蛇で可愛らしい見た目にヘビのような性格をした男。祭神がいなくなった自分の神社の新しい祭神として奈々生を仕立て上げようとしたこともあったが、現在は奈々生の神使として生活している。

あらすじ

母と死別し、父は蒸発、住み家を失った女子高生桃園奈々生(ももぞの ななみ)は、ひょんなきっかけから住み家を手に入れる。条件はミカゲ社の土地神となることで、奈々生は普通の高校生活を続ける傍ら、縁結びの神社で神様をはじめることに。そこには巴衛(ともえ)という不思議な男が住んでいた。装束姿で狐の耳の生えた巴衛は奈々生に仕える神使だと言うが態度はとても不満そう。負けず嫌いで頑張り屋の奈々生は自分の熱意を行動で示し、少しずつ巴衛の信頼を勝ち取っていくのだった。そんな中、新しい環境で勝手のわからない生活を続ける奈々生は、自分のピンチには文句を言いながらも必ず助けてくれて、どこか放っておけない巴衛へ恋心を抱いていく。思い切りの良い奈々生は勇気を出して巴衛に告白するがあっけなく玉砕。もしかしたら、と淡い期待を抱いていた自分を恥じ、泣き出してしまう。しかし周囲の妖たちに励まされ、巴衛が自分のことをどう思っていようと諦めないこと、自分の恋心を貫くことを固く決心するのであった。話が進むにつれ、巴衛には忘れられない過去の女性がいることが判明してしまう。奈々生は彼女の存在に何度も胸を締め付けられるが、実はその女性は…。人間と妖の500年越しの恋が描かれていく。

見どころ

魅力的なキャラクターと、ロマン溢れる恋愛模様が見どころ!明るくいつも前向きな奈々生はどんな困難も自分の信念と周囲への感謝で乗り越えていきます。奈々生の周りには奈々生を愛する友人や妖で溢れていますが、奈々生の頑張りを見ているとそれも納得。巴衛への気持ちを諦めず、他の男に想いを寄せられても全く揺らぐことなく巴衛だけを真っ直ぐ追いかけ続ける姿は読んでいる側も自然と応援したくなってしまいます。一方、奈々生を振った巴衛には重く暗い過去があり、簡単に奈々生を想いを受け入れたりはできないのです。明るく真っ直ぐな奈々生と、本当は健気で一途な巴衛の想いが通じ合うまでが、現在と過去、現実世界と妖の世界を行ったり来たりしながら丁寧に描かれていきます。

感想

主人公の奈々生ちゃんがとても可愛く、恋が叶うように応援したくなるのはもちろんですが、あらゆる困難に立ち向かい人として成長する姿はとてもカッコよく思えます。巴衛のツンデレ的なキャラクターは王道ですが、絵柄がとても魅力的なのと、これまでの人生がきちんと描かれているため、彼が奈々生にデレた時にはよりキュンとしてしまいます。たくさん出てくるキャラクターもみんな魅力的で、ひとり大ボス的な存在がいるのですが、彼の孤独には思わず泣けてしまうほどでした。何気なく手に取った少女漫画でしたが予想を超えるストーリー展開で最後まで夢中になって読みました。どうせこうなるだろうという読者の予想を上手に裏切ってくれる作品で、たくさん漫画を読んできた人でも楽しく読むことができると思います。