帰らぬ人となった少女のささやかな嘘とは?音楽が織りなす感動漫画「四月は君の嘘」

最終更新日:2020-01-19

作品概要

漫画「四月は君の嘘」は新川直司による青春漫画。2011年より少年マガジンで連載し、全11巻。2012年度のマンガ大賞にノミネートし、2013年には講談社漫画賞少年部門受賞。2014年にアニメ化し、2016年には実写映画化もされている。

登場人物紹介

有馬 公生(ありま こうせい)

この作品の主人公。母親が叶えられなかった夢である『世界的なピアニスト』を目指すために、友だちと遊ぶのも我慢しながら日々母親からの厳しい特訓にも耐える。その成果もあり、数々のコンクールで優勝。楽譜通りの正確なピアノは、周囲から絶賛の声と共に「ヒューマンメトロノーム」とも呼ばれていた神童。

宮園 かをり(みやぞの かおり)

この作品のヒロイン。明るく元気な性格。幼少期はピアノから始めていたが、公生のピアノを見て、「公生くんにピアノを弾いてもらいたい!」という夢をもち、ヴァイオリニストへ。しかし、周りには明るく見せるが、身体が弱く公生の母親と同じ病気を持っている。

澤部 椿(さわべ つばき)

公生と渡の幼馴染。ソフトボール部に入部しており、ピッチャーを担当している。公生をよく巻き込むトラブルメーカー的存在だが、公生には姉のような存在でもある。恋愛については、前半は中学の先輩とのやりとりがあるが、次第に公生への恋心に気づいていく。

渡 亮太(わたり りょうた)

公生と椿の幼馴染。サッカー部に所属しており、顔がかっこよく女の子にモテる。渡自身も女の子が好きで、可愛い女の子からの告白は基本応える。チャラい印象だが、公生やかをり、椿の気持ちを察しており、影からみんなを支えている。

あらすじ

神童だった有馬公生は、母親の死をきっかけに「ピアノの音が聞こえない」とピアノから遠ざかってしまう。

そんな時、椿を通じて宮園かをりと出会った。かをりの自由かつ個性的、けれど素晴らしい演奏をきき、公生のモノクロだった世界が一瞬で彩る。かをりの伴奏をすることになり、公生はピアノの音が聞こえない中、かをりのヴァイオリンの音を頼りに演奏する。その演奏をきっかけに、公生は再びピアニストの道へ戻り、幼いときからのライバルと競いながら師匠と自分の演奏を磨いて行く。

そして次第に公生は、かをりの演奏と、明るい性格に惹かれていく。しかし、「かをりは渡が好き」と椿に言われたことを思い出し、自分の気持ちは伝えられずにいた。そんな公生の気持ちに椿は気づき、自分の公生への気持ちにも気づいていく。

そして2度目の公生とかをりの共演が決まるが、かをりは現れない。かをりには、誰にも教えていない秘密があった。小さいときから持病があり、物を持ったり、歩くことが困難になっていく。

少しずつ身体が悪化していくかをりを見ていると、小さい時のトラウマが蘇り、ピアノを弾くことが怖くなってしまった。ピアニストの道を歩むために、東日本ピアノコンクールで入賞しないといけないが、練習が上手く進まないまま当日を迎えてしまう。かをりの手術とコンクールの日程が重なり、公生は全身全霊で音にかをりへの想いを乗せ、渾身の演奏をする。そのピアノは会場中を魅了するが、かをりは手術中に帰らぬ人となってしまった

コンクールが終わると、かをりからの手紙があり、そこには『自分のついた嘘』『想い』が綴られ、一枚の写真が入っていた。

見どころ

見どころは、なんといっても演奏シーン。紙からは決して聞こえることがないピアノ、ヴァイオリンの音が頭の中で流れてくる。作者の独特な表現、書き方が作風にぴったり合っている。怖い演奏から、明るくポップな演奏、また自由で色とりどりな演奏まで、とても表現が豊かだった。

公生とかをりだけでなく、ライバルの演奏シーンも注目。キャラクターも演奏も個性豊かであり、それが漫画内でしっかりと表現されいてる。演奏から伝わる、キャラクターそれぞれの『想い』もこの作品の注目ポイント。一人一人の演奏への気持ちが、表情や演奏シーンで描かれている。

公生とかをりの演奏シーンは二回のみだが、ひとつは公生が変わるきっかけ、そしてふたつめは最後。どちらも素晴らしい作画で、とくに最後の演奏は作者渾身のページ!公生とかをりが演奏している時の動き、表情がしっかりと伝わってくる。

感想

『音楽』と『青春』をかけあわせ、とても綺麗にまとまっていた。とくに、『音』をしっかりと漫画で表現されており、その演奏シーンからキャラクターの想いが伝わるのがとても素晴らしい。

公生が椿のために演奏するシーンは、とても綺麗で美しかった。椿が公生を想う気持ち、公生が椿を大切に想う気持ちがとてもよく伝わってきた。『音楽』というテーマは、小説や漫画では表現が難しいとされている中で、この作品の演奏シーンはしっかりと表現できていた。特に、最後の公生がかをりを想って演奏するシーンと、そこからのかをりの手紙。最後の演奏では伝えられなかった公生への『想い』と『嘘』が綴られた手紙は、涙なしでは読めない!読んで損はない『音楽』漫画の傑作。