2016年宝島社『このマンガがすごい』7位。細胞を擬人化した漫画「はたらく細胞」

作品概要

はたらく細胞は、清水茜による月刊少年シリウスにて連載中の漫画。読切り作品「細胞の話」が第27回少年シリウス新人大賞を受賞し、連載化したものである。スピンオフ作品に「はたらく細胞BABY」「はたらく細胞フレンド」「はたらく細菌」などがあるが、全ての作品で清水茜が監修を務めている。2018年7月よりテレビアニメが全13話+特別編で放送された。


登場人物紹介

赤血球

血液中に存在する血球。擬人化されているため女性や男性の姿をしている。着用している制服は一様に赤色が印象的で、全員が実際の赤血球を模した帽子をかぶっている。血液中の酸素や二酸化炭素、栄養を宅急便の配達員のように身体中に運んでいる。外傷によって体外に放出されたり、溶血性の細菌によって攻撃されたりすることもあるが、抵抗する能力を持たないため、基本的に逃げるしかない存在である。

AE3803

主人公の1人で赤血球。ショートカットの赤毛で、はつらつとした元気な女性。ひどい方向音痴でたびたび違う場所へ迷い込んでしまう新人配達員だが、純粋で親切な性格で一生懸命仕事に取り組んでいる。トラブルに遭遇することが多く、肺炎球菌に襲われたときに白血球のU-1146番に助けられ出会うことになった。






白血球/好中球

白血球と呼称される細胞はいくつか種類があるが、本作では主に好中球を指し男性のみが登場する。白髪で青白い肌、黒く落ちくぼんだ目、純白のジャケットとズボンを着用し白いキャップをかぶった出で立ちで、武器は主にダガーナイフを使用。体内に侵入したウイルスや細菌をいち早く察知し、真っ先に駆除に向かうが「死ね!この雑菌がァ」などと叫びながら容赦なく惨殺し、返り血を浴びた姿で次の異物を探してまわるため、他の細菌からは恐れられている。実は心優しく親切で、温厚な性格。

U-1146番

好中球課所属の白血球で主人公の1人。ナンバーの由来は「いい白」の語呂合わせ。右目が前髪で隠れているのが特徴で、冷静で落ち着いた性格をしており真面目に仕事に取り組んでいる。面倒見が良くやさしいが、異物を見つけるやいなや戦闘態勢に入り罵声を浴びせながら仕留めにかかる態度に変貌する。赤血球AE3803と遭遇することが多く、激烈な方向音痴の彼女を心配している。


あらすじ

数十兆個もの体内で働く細胞たち。彼らによって酸素は運ばれ血は止まり、時にはアレルギー反応が起きている。ヒトの体の内側で日々奮闘する彼らの日常。

その物語の1話目は「肺炎球菌」肺炎の原因となるレンサ球菌の一種で、赤血球を破壊し最悪の場合は脳までをも破壊する強力な病原体が侵入。栄養と酸素を取り込むため赤血球を襲う肺炎球菌を退治するべく白血球は奮闘するが、最後の個体を見失い重要器官に到達してしまうー。

第2話は「すり傷」平穏に配達業務にはげんでいる赤血球の前に、非常事態は唐突に訪れる。突然あらわれた巨大な穴に吸い込まれていく仲間たち、次々と倒壊していく建物。そうこれは、すり傷ー。混乱のさなか傷口から次々と侵入してくる細菌たちを相手に白血球は立ち向かうが、黄色ブドウ球菌ら多数の攻撃に苦戦を強いられる。そこへ強力な助っ人が登場し事態は一変する。

この他「インフルエンザ」「食中毒」「スギ花粉アレルギー」「がん細胞」「熱中症」など、身近でよく知る症状たちとの戦いを描いていく。白血球や赤血球の他にもマクロファージやキラーT細胞、樹状細胞など数多くの細胞が登場し、意識されることのなかった彼らの奮闘を知ることになる。


見どころ

自分の体内で起きていることが非常に分かりやすく、正確に表現されていて意識せずに健康に対する知識も深まる一石二鳥な作品。

どの細胞も面白く特徴的に描かれていて、身体機能や反応を身近な流通やロケットなどで表しているところも理解しやすいです。

1話ごとに題材が異なるので飽きずに読むことができ、多くの人が知るすり傷やインフルエンザ、アレルギーをテーマに、どのようなメカニズムで体が反応しているのか興味が尽きませんでした。また、擬人化されたキャラクターは面白かったり、カッコよかったり見ていて飽きません。

24時間365日、私たちが生き続ける限り懸命に働き続ける細胞たちにただただ頭が下がり、自分を大切にしたいと感じられるところが1番の見どころかもしれません。


感想

自分の体を守ってくれている細胞たちが頼もしく健気で愛おしい……。やさしくてカッコいい1146番も、小さくてかわいい血小板ちゃんも体内にいる!!好きなキャラクターが身近すぎて不思議な気分になります。

勉強しているという感覚は全くなく、それぞれ特徴的なキャラクターやその役割を見ていると、人体がたくさんの奇跡的な創造によって成り立っているのだなあ、と実感します

どの細胞も独特でキャラが濃く個性的で笑える要素も。細胞の性質や機能は損なわず、性格は自由に表現された細胞たちが活き活きと描かれていて愛着が湧き、自然と体を大事にしようと思えます。

オーバーな表現で免疫が異物を排除するのはギャップがあって面白いのですが、この激しさがなければぜひ子供たちにも読んでみてほしい!と思える作品です。