思い出すだけでもつらい・・・
ある夜、俺と友人A・友人Bでドライブをしていた。
車を運転しながら友人Aが恐ろしい話を始めた。
A「ある場所に男が行くと、強烈な腹痛に見舞われるらしいよ。なんでも今まで付き合ってきた女性の不満や恨みがそこには集まっていて、男性を苦しめるらしい。」
Bは顔が硬直している。
A「ちょっと行ってみない?」
俺「絶対嫌だね!」
B「そんな危ない場所には俺も行きたくねーよ!」
A「ビビってんの?てかもうそこ向かってるよ~」
俺「やめよーぜ!」
B「おい!早く車止めろよ!俺は降りる!」
俺も嫌だが、Bの嫌がり方が尋常ではない。
確かにこいつは普段から相当女性を弄んでいると言っていた。どれだけの激痛が走るのか…確かに恐ろしかろう。
嫌がる俺らを無視し、Aは車を走らせる。
そしてその場所に着いてしまった。
車を降りて、仕方なくAについていく。
B「マジでやめよーぜ!」
A「着いたよ~」
そこには大きな木があり、わら人形やらびっちり文字が書かれた紙やらお札やらが打ち付けられていた。
そのとき、突然Aが腹を抑えてうずくまった。
A「いてぇ…いてぇよぉ…」
Aは汗だくになりながら、もだえ苦しんでいる。
そしてBもうずくまる。
B「いたたたたた!」
俺もうずくまる。
しかし実は痛くない。なぜなら俺は童貞だからだ。
童貞であることを隠すために痛いふりをしているだけだ。
俺「いたたたたー!」
痛がるふりをしながら二人の様子を伺う。
Bと目が合った。こいつもか。
しばらく激痛でうずくまる三人(二人は痛くない)
ここから俺とBの心理戦が始まる。
どうやって終わらせるんだ…
一人だけ腹痛が治まるわけにはいかない…
5分ほど経っただろうか。俺とBにとって人生で最も長く感じた5分であろう。
ふとAを見ると、青白い顔をした髪の長い女性の幽霊がAの体に触れている。痛みの原因はこいつか!
しかし幽霊は俺とBには見向きもしない。
くそ、バレる…
痛がるふりをしながらズリズリと体を幽霊の方に近づけていく。
Bも体を寄せてきた。
三人で幽霊を取り囲む形となる。
幽霊「うわ、きも…」
幽霊は虫けらをみるような顔をして消えていった。
その瞬間、Aの腹痛が治まったようだ。
A「マジで痛かった…やばいよここ…」
B「お、おー!い、痛かったよなー…なんて言うか腹をナイフで刺されたような…」
A「え?」
B「い、いや!何て言ったらいいのかぁ…」
黙れ。馬鹿なやつだ。だからお前は童貞なんだ…
急いでその場を離れ、車に乗って帰った。
今思い出しても冷や汗の出る恐ろしい夜だった。