第9話 Primember(プライメンバー)
いよいよ文化祭は明日へと迫っていた。パフォーマンスのできも上々だ。瑛子の布教活動の甲斐もあり客入りも十分見込める。
改めて燐はメンバーに皆に会えてよかったと想いを告げる。その言葉に涙ぐむ智。智にとっては二度目の文化祭であり、燐が亡くなる際に悲しませてしまった償いの念が強い分、燐の言葉は他のメンバーよりも重く感じさせられる。
そして明日が燐にとって最高の一日になることを願う智。
いよいよ文化祭当日。演奏までの間、思いっきり文化祭を楽しむ五人。
そこに花園というクラスメイトが智に声を掛ける。別の場所に移動すると、花園は智と付き合いたいと告白する。
好きな人がいると断る智。同時に物陰に隠れている燐に気づく智。焦る智に花園は尋ねる。
「その好きな人って、もしかして燐ちゃん?」
「んなわけないだろ、バカかっ。」
とっさに強く否定してしまう智。
花園がその場を去ったあと、隠れる燐に智は声を掛ける。しかし反応がない。覗いてみると燐はしゃがみ込んで顔を伏せる。
「やっぱり、好きな人、いたんだね…」
その場を走り去る燐。
智が音楽室に戻ると、燐の姿がない。手分けして探す4人。智は瑛子に燐が行方不明ということを電話で知らせる。二人の会話の中で、思わず智は弱音を吐いてしまう。自分では燐を気づ付けてばかりで、どうしてよいかわからないと。瑛子は智の素直な気持ちを伝えればいいと伝える。ずいぶん簡単な事みたいにいうんだなと答える智。
その智に瑛子は告げる。
「簡単な事でしょう。篠原君、私、篠原君のことがずっと好きだった。」
「きっと燐も同じような気持ちを抱えている。だけど伝えないとわからない事もあるでしょう?あなたの想いはきっと届くはずよ。」
瑛子の言葉が智をつき動かす。
「俺、燐を探してくる。」
一方会場には多くの観客が集まっていた。そこで六郎は智と燐が戻ってくるまで、場をつなごうとヒミコに提案する。及び腰のヒミコであったが、智が燐を必ず見つける。信頼し合ってこそ仲間というものだという言葉に突き動かされ決心するヒミコ。
一方必死に燐を探して駆け回る智。
すると屋上から歌声が聞こえる。屋上に駆け上がる智。
そしてついに智は燐の姿をとらえる。