精霊幻想記 | ||||
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幼い頃に初恋の少女と大切な約束を交わした天川春人。しかしそれは、少女の失踪と自身の身に起こった事故により、果たされることはなかった。そして【天川春人】だった青年は、異世界のスラムで生きる孤児の少年【リオ】へと転生し――!? 前世と現世が交錯する大人気異世界転生ファンタジー、待望の新コミカライズ!
ホビージャパン
1巻ネタバレ
◆交錯する前世の記憶~孤児のリオと、日本人の春人
ベルトラム王国のスラム街に、リオという孤児の少年がいた。
5歳の時に母が亡くなって以来、このスラム街で乞食同然の生活をして2年近く。リオは悪い兄貴分の男達にいいようにこき使われ、高熱が出ても放置され、今にも息絶えそうになっていた。しかし薄れゆく意識の中で、前世の記憶が突然目覚める。
リオの前世は日本人の天川春人。普通の家庭で幸せに育ち、幼馴染の可愛い女の子・美春と甘酸っぱい恋をしていた。
お互いをみーちゃん、春くんと呼び合い、将来は結婚の約束までしていた二人。春人の家の引っ越しで一時離れ離れになってしまうが、春人は大好きなみーちゃんとの再会を夢見て切磋琢磨を続ける。
祖父からは古武術を習い、勉学にも励み…その甲斐あって、ついにはみーちゃんと同じ進学校の高校に入学することができた。
入学してすぐ、春人は遠くからみーちゃんの姿を見かけて感動。明日にでも声をかけようと胸を躍らせるが、なぜか翌日から突然みーちゃんは学校に来なくなり、家にも帰らず失踪してしまう。
目標を失った春人は抜け殻のようになり、無気力な日々を過ごしたまま大学生に。
そしてある日、バスの大きな交通事故に巻き込まれ…帰らぬ人となった。
◆王立学院講師・セリアとの出会い
リオは前世での春人としての記憶が蘇り、頭が大混乱。
フラフラしながら街をさまよっていると、ふいに身分の高そうな女性たちに声をかけられて驚く。彼女たちは、第1王女のクリスティーナ、王立学院講師のセリア、軍人のヴァネッサ、貴族の令嬢ロアナの4人。誘拐された第2王女フローラを秘密裏に捜索していたが、リオには詳しい身分も事情も明かそうとはしなかった。
ロアナ、クリスティーナ達は汚らしい姿のリオを見て、あからさまに「臭い」と差別的な態度。ヴァネッサもリオにはやたら高圧的な態度で、フローラの情報を何か知らないかと問い詰めてくる。しかしセリアだけは優しくリオに話しかけ、リオが内に秘めている魔力を褒めて微笑みかけてくれた。
セリアは弱冠12歳にして飛び級で学院を卒業し、講師に就任した魔法の天才。見た目も性格もふんわりと可愛くて、誰からも尊敬され愛される人物である。そんなセリアを前に、リオも思わず貴族の中にも優しい人がいるんだな、と少しだけ心が救われた。
◆誘拐の冤罪で王城へ
その直後、兄貴分たちがいる居酒屋に戻ったリオは、恐怖に凍りつく。何と、兄貴分たちが無残に殺されていたのだ!
しかも、その側には袋に押し込められた第2王女・フローラがいた。どうやら兄貴分たちは誘拐事件の実行犯で、主犯の男に口封じの為抹殺されたようだ。
リオは急いで王女フローラを助けようとするが、口封じにやってきた主犯側の男に襲われて大ピンチに陥る。非力ながらも、春人の古武術の記憶を頼りに何とか応戦するリオ。
何としてもフローラを守らなければと決意した時、突然「春人!」という声がして、不思議な異空間へ誘われる。そこには、どこか見覚えのあるような美少女がいて、オド(魔力)の使い方を感覚で覚えられるように導いてくれた。
そしてハッと我に返ったリオは、見事に魔力を使いこなして身体能力を強化。襲ってきた男を撃退し、王女フローラを助け出してセリア達の元へ向かう。
しかし第1王女のクリスティーナ達はリオが誘拐犯だと勘違いして、リオを王城へ連行。後で第2王女のフローラが目覚めてリオが恩人だと証言してくれるまで、リオは近衛騎士団の副団長シャルルに酷い拷問を受ける羽目になった。
セリアはリオが拷問を受けて酷い重傷を負っていることを知ると、すぐに駆けつけて粘り強く治癒魔法で治療。そのおかげで、リオはすぐにほぼ無傷で元通りの姿に回復することができた。
その後、近衛騎士団は結局この殺人・誘拐事件の真犯人を突き止められず、シャルルは無実のリオを拷問した不祥事で降格。シャルルは逆恨みでリオに強い復讐心を抱くことになる。
そしてリオにも、恩人ではあるがもしかすると犯人と関わりがあるのかもしれないという疑いが残ってしまう。そこで国王たちはリオへの褒賞と監視する目的を兼ねて、生活を保証する条件つきでベルトラム王立学院に入学させることにした。
一方、リオを襲った男も、真の主犯の男に抹殺されていた。その男はリオの能力に深い興味を示していたが、まだ誰もその男の脅威には気づいていなかった。
◆ヒーロー?卑しい悪人?ベルトラム王立学院での生活も前途多難!!
リオは淡々と自分の運命を受け入れるが、学院は王侯貴族の子息ばかりで、大半が孤児だったリオに冷たい視線。入学当初のリオは文字が読めず、それに気づいた同級生の男子達はここぞとばかりにリオをからかって卑しい笑いを浮かべていた。
それでもリオは予想通りだなと冷静に受け止め、極力目立たないよう、売られたケンカを買うことも無く、弱くて無力な少年を演じ切ることにした。
そんなリオを心配してくれたのは…やはり心優しいセリア。
セリアはリオの為に個人授業で文字や知識を教えたり、お茶に招いたりして何かと面倒を見てくれた。
それはリオの為でもあり、セリア自身もとても楽しんでいる様子。
いつも温かく迎えてくれるセリアに、リオは感謝して心を開いていく。
そしてすぐに、セリアの与えてくれる知識と、リオ自身の努力で学力にも目覚めていくが、リオはそれすらも周囲に隠して、できる限り目立たないように生きることを選ぶ。
心に静かな闘志を燃やして…。
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感想
7歳にして、あまりにも重い人生を背負った少年の物語が始まりました!
リオの人生だけでも悲惨なのに、前世の春人もかなり謎めいた運命と悲惨な末路を辿っています。しかも前世の記憶が蘇るだけではなく、「春人」と名前を呼んで干渉してくる謎の女性まで出てきて、もう大混乱。前世と現世がかなり複雑に絡み合っている世界観のようです。
こんな重い運命でも、賢く冷静に振る舞うリオ君って凄いですね。優しいセリアがリオ君の側にいてくれて、本当に良かった。ファンタジー世界で魔法も学べる王立学院編と来れば、色々楽しいこともあるはず!!頑張れ、リオ君!!