笑いあり、しかし切ないそして重い押切蓮介ワールド全開のラブコメディ漫画「ハイスコアガール」

作品概要

漫画「ハイスコアガール」は押切蓮介によるラブ・コメディ漫画。2010年より増刊ヤングガンガンにて連載開始。 全10巻。2018年の夏シーズン1、2019年の秋シーズン2が放送された全21話プラスOVA3話

登場人物紹介

矢口 春雄

1979年6月1日生まれ
O型
本作の主人公
無類のゲーム好き
1991年、彼が12歳・小学校6年生の時に物語はスタートする。 無類のゲーム好き、というよりも小学生にして人生に冷めておりゲームこそが自分のアイデンティティだと思っている節がある。 勉強、スポーツも苦手のためゲームでだけは輝きたいと思っている。 性格はひねくれているが、根は意外に素直で優しい部分もある。 豪指の矢口の豪指のハルオとも劇中で呼ばれる。 思考の波に埋もれるとゲームキャラとの会話が可能。



大野 晶

1979年10月10日生まれ
O型
本作のメインヒロイン。
小学~高校時代までセリフをほとんど発しないのが特徴的。
姉の代わりに英才教育を詰め込まれて、将来は家に見合った男に嫁ぐことも決められている。 小学生時代、稽古のストレスに溜まりかね、ゲーセンに足を運んだことでゲームに嵌まる。 ゲームがアイデンティティのハルオに敵意を向けられるが、完全にいなして返り討ちし続ける。 だが外の世界を教えてくれ、根は優しいハルオに惹かれていった。 小学6年の夏休み後に両親のいるロサンゼルスへと旅立つが中3時に帰国するのだが…



日高 小春

1979年4月4日生まれ
A型
中学生編から登場した本作のメインヒロイン。
2020年12月から始まったスピンオフでは教師になっている。 実家の酒屋、日高商店の店頭に父親がゲーム機を設置、ハルオが足しげく通ったことから仲を深めていく。 可愛いらしく胸も大きく、モテるポテンシャルはあるのだが人付き合いが苦手で引っ込み思案のためもてない。 自分にない面をもった天真爛漫で楽しそうに生きているハルオに惹かれていき、好きなことにきづく。 ハルオの心の中にいつも“あきら”がいて自分の存在が少しもないのを承知している。 ハルオを振り向かせるために必死に頑張る健気なヒロイン



大野 真

高校生編から登場してくる晶の姉。 大野家の長女だが既に小学生時代から反抗し、家庭教師の業田とも対立し問題児として扱われている。 ある意味“晶”が苦労している原因であり、諸悪の根源… 押し付けられて勉強する大野家の教育方針に反抗した姿勢を示すため、自堕落な生活をおくり、両親や業田を挑発している部分が強い。 基本的には姉御肌で面倒見がよく、晶とハルオの接点となるべく積極的に動いている。 自分のせいで晶に過度の負担と両親の期待がかかっていることを申し訳なく思っており、極めて妹想い。 ハルオに晶へ積極的にアプローチするように働きかけるが、実際には恋愛経験がない…



宮尾 光太郎

人付き合いがさほど上手くないハルオの数少ない友人の一人。 作中で俺はお前の「マブダチ」とハルオに声をかけ、よく気をかけている。 現実社会で気を許せる唯一の同性の親友のなのは間違いない。 ハルオを応援したい気持ちは確かにあるのだが、その一方で小春の気持ちも理解できるのが辛いところ。



あらすじ

1991年のある日のゲームセンター「マルミヤ」そこで矢口 春雄ことハルオは恥辱に合間見えることになる。 自分の得意分野であるゲーム、なかでも得意な格闘対戦ゲームの「STREET FIGHTER2」で7連敗を喫してしまったのだ。

相手を確認してみたところ、その相手はハルオと同じ6年2組の“大野晶”だった。

ゲームとは縁遠い、スクールカーストの頂点でもあるお嬢様に自分の居場所を奪われる屈辱… ハルオは勝ちに拘り姑息な手段で晶の連勝を止めるが、その場で彼女にボコボコにされてしまう。

お互いに最悪の印象の出会いから二人の関係は始まった。 ゲームを通じて距離を縮めていった二人だが、別れは唐突に訪れた。 夏休み明け、晶は両親の待つロサンゼルスへと向かうことになったからだ。
葛藤に苦しんだハルオだが空港に赴き、晶に玩具の指輪を渡し、再会を誓う。

時は過ぎ中2の冬、相変わらずゲーム三昧の日々を過ごすハルオ。 そんな奔放なハルオに羨望の眼差しをむけるのが“日高 小春”だった。 実家の商店にゲームが設置されたことでハルオが毎日訪れることになる。 小春はゲームを通じて不器用だが優しいハルオに惹かれていく。

春になり、中3になったハルオと小春。 そこへハルオのマブダチである“宮尾 光太郎 ”が思わぬニュースを口にする。 美人の転入生に一目惚れしてしまったと…それはなんと晶だった。

ハルオ、小春、晶、それぞれの想いが絡みあったまま、彼らは高校生になる。 そしてハルオも重大な決断を迫られることになるのだった。

見どころ

押切蓮介先生は独特の世界観を持った作品、描写が多いのですが、このハイスコアガールは幅広い年齢層が楽しめる作品です。

一巻の小学生編こそゲームのキャラクターも多く登場し、ハルオが晶に一方的にボコられる、いわばトムとジェリー的な話のスタイルですが、二巻からはラブコメ要素が満載になります。 そして重いのも特徴と言っていいでしょう。

押切先生独特のタッチでギャグを織りまぜながら、ハルオ、晶、小春、人付き合いがそれほど得意でない三人ならではの独特の緊迫感をもった心理描写が楽しめます。

作中で晶の姉の“真”やハルオのマブダチの“光太郎”が耐えきれなくなっていましたが、読み手側にもその“圧”が伝わってきます。

アニメ化もされて話題にもなったハイスコアガール、面白くと切なさが絡み合いループする作品としてオススメです。

感想

甘くほろ苦い青春ラブコメが繰り広げられ、そこにゲームを介してのオリジナルなスパイスが加えられているのが特徴的であり、魅力的な作品です。

多くの人が抱えているだろうコンプレックス、そして自己アイデンティティの破壊から物語は始まっているために、なおさらハルオに共感、感情移入した人も多いのだと思いかと思います。

一巻の小学生編だけでも秀逸な物語が展開されていて、きれいに終わっているのですが… 二巻からはもう一人の主人公とも言える小春が登場します。 報われぬ、悲恋に終わる可能性の高い恋に立ち向かう彼女の姿がまたなんとも切なくて辛いのが印象的。 「あれ?これラブコメだよね?」と問いかけてしまうくらいの彼女は奮闘をするのですが…結末は………

2018年夏アニメの話題作であり好評で、2019年の秋アニメでも話題になった作品です。 原作はより“押切ワールド”全開の作品ですから、未読の方は是非読んでみる事をオススメします。