産婦人科医院のリアルで衝撃的な日常を描いた作品、「透明なゆりかご」をご紹介します。

こんにちは、ニケです。今日は「透明なゆりかご」という作品をご紹介します。
産婦人科医院の日常を描いた作品なのですが、その可愛い絵柄からは想像がつかない、非常にリアルで衝撃的な内容です。

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「透明なゆりかご」作者:沖田 ×華(オキタバッカ) 【既刊7巻】

作品の概要
高校3年生の夏休み、准看護学科に通う×華は産婦人科医院でアルバイトをする事となった。
そこでは、日々新しい命が生まれ、また消えていくー。
誰もが幸せな妊娠、出産を迎えるわけではなく、望まぬ妊娠、母子ともに危険を伴うリスクのある出産など、人それぞれ様々な悩みや事情を医院にやってくる。
×華はそんな人々と出会い、成長していくー。

現在7巻まで発売されており、NHKにてテレビドラマ化。その後さまざまな賞を受賞した話題の作品です。
今回は、私が読んで印象深かったお話をいくつかご紹介したいと思います。

『透明なゆりかご』 印象深かったストーリー紹介

第3話(1巻) 保育器の子

ある日、×華の働く産婦人科医院の前に小さな紙袋が置いてありました。中には1000グラムちょっとしかない小さな赤ちゃんが入っていました。
誰かが捨てていったのです。
誰が置いて行ったのかも分からないまま、しばらく医院で預かることに。

目がぱっちりしたその子はとても可愛く、ナースステーションの中で「静ちゃん」と名付けられ、可愛がられていました。
どちらかというと赤ん坊な苦手な×華でしたが、なぜかその子には一目惚れ。人一倍愛情を注いでいました。

ある日、1人の女子高生とその両親が医院にやってきます。なんとその女子高生は、静ちゃんを捨てた本人でした。

「せっかく捨てたのになんで見つけたの」と逆切れする女子高生に両親は激怒。
両親は、赤ちゃんは自分たちで育てますと医院に謝罪をして引き取っていきました。

その一部始終を見ていた×華は、どうしてもその女子高生が許せず、最後に一言で良いから言ってやりたいと隣町にある女子高生の家を目指して自転車を走らせます。
そこでふと、×華は気づくのでした。
『捨てる場所ならもっと近くに沢山あるのに、赤ちゃんを産んだ直後の体でどうして隣町の産婦人科の前に捨てたんだろう。本当は、この赤ちゃんを誰かに救ってほしかったのではないか。』

女子高生の”見えない愛情”を感じた×華でした。

第8話(2巻) 産科危機

陽子さん(23)は双子の初産で通院中。2歳年下の旦那さん、孝雄さんはよく付き添いに来ていました。

しかし、出産日当日悲劇は起こります。分娩中の陽子さんの出血が止まらなくなってしまうのです。

大きな病院に搬送しようとするも間に合わず、陽子さんは亡くなってしまいます。

残されたのはまだ21歳の旦那・孝雄さんと、生まれたばかりの双子の赤ちゃんだけでした。進んで面倒を見てくれる親族もおらず、孝雄さんは「1人で子供を二人も育てるなんて無理だ」と、自殺を考えます。
双子の赤ちゃんにミルクをあげながら、「この子たちが寝たら死のう…」双子の赤ちゃんのおむつを替えながら、「この子たちが寝たら死のう…」と日々を過ごします。
そんな時、孝雄さんは、自分を見つめる双子の赤ちゃんに気づきます。

『赤ん坊って泣いているだけかと思っていたけど、この子たちは自分を見ている。この子たちの親は俺しかいないんだ。』

孝雄さんは双子の赤ちゃんを守ることに必死になり、そこから徐々に生きる力を見出していきます。

第25話(4巻) 3人の母

拓真さん(25)は、中学卒業後は学校も行かずフラフラしていたような、地元でも有名な不良でした。

妊娠中の奥さん、凛子さんはまじめな女性。つわりにもめげず、生まれてくる予定の男の子を心待ちにしていました。
しかし、実際に生まれてきたのは女の子でした。

拓真さんはどちらの性別だろうが気にせず、生まれた事を喜びました。しかし凛子さんは、あまり嬉しそうではありませんでした。

3か月後、凛子さんは何にも言わず拓真さんと子供の前から姿を消しました。
拓真さんはロクに仕事をしてい無かったため、見かねた周りの主婦3人組が、子育てを手伝いながら仕事もあっせんしてあげました。

子供は玲花ちゃんと名付けられすくすく育っていきました。しかしある時、仕事のストレスでむしゃくしゃしていた拓真さんは、子育てを手伝ってくれている主婦たちのいるスーパーで万引きをして捕まってしまいます。裏切られた主婦たちは、拓真さんに愛想をつかしてしまいました。

そして、玲花ちゃんは奥さん側の親族に引き取られ行きました。

それから13年後、大きくなった玲花ちゃんが主婦と拓真さんに会いに来ました。

玲花ちゃんは、親族のお家ではあまり愛情を注がれることなく、幼い頃に拓真さんや主婦たちに可愛がられてた記憶が支えとなっていました。
拓真さんは崩れそうな古い実家に住み、服も髪もボロボロのやさぐれた生活をしていました。

それでも玲花さんにはたった一人のお父さん。再会を心から喜ぶのでした。

まとめ

今回は3つのストーリーをご紹介しました。
まだまだたくさんの物語が詰まった『透明なゆりかご』。実際に産婦人科医院で働いていた経験を元に描かれているので、一つ一つのストーリーがとてもリアルなのですが、絵が可愛いので、残酷なシーンもあまりショックを受けずに読めます。
この機会に是非、読まれてみてはいかがでしょうか?