概要
「頭文字D」(イニシャルD)は、「しげの秀一」による、走り屋たちの熱い公道バトルと若者たちの成長を描いた「カーバトル」漫画。「週刊ヤングマガジン」で1995年から2013年まで掲載され、全48巻。アニメ版は、フジテレビ系列地上波で頭文字D(1998年)、頭文字D Second Stage(1999年)で放送された他、CS放送チャンネルで3シリーズ、OAV5作、劇場2作が制作されている。
登場人物
藤原 拓海(ふじわら たくみ)
身長174cm、体重58kg。群馬県立S高校に通う高校生。父文太の作った豆腐を秋名湖畔のホテルに卸すため、朝4時に秋名山を藤原とうふ店のハチロクでかっ飛ばす下り最速ドライバー。高校卒業後、高橋涼介率いるプロジェクトDの下り担当ドライバー。同級生の茂木なつきとは、高校卒業に別れてしまう。物語後半で上原美佳と良い仲になる。 好きなキャラクターアンケートでは堂々1位。新緑の季節、ハチロクのおしりと昼寝が好きで、負けず嫌いな性格。いばってる奴と遊んでる女の子も嫌い。車は、ハチロク トヨタ・スプリンタートレノ AE86型。イメージしたラインをはずさないコーナリングが得意。
藤原 文太(ふじわら ぶんた)
身長172cm、体重62kg。主人公藤原拓海の父で藤原とうふ店を経営。かつて、秋名山を走らせたらシューマッハより速いと信じているラリー屋。拓海のドライビングテクニックを進化させるため、しばしば過酷な特訓を課す。スランプに陥る拓海を、インプレッサであっさりと抜き去って自信を失わせたことも。 好きなキャラクターアンケートでは意外にも第2位。キャブの音とたばこが好きで、漫画でもよくたばこを吹かしている。ドリフトしながら居眠りができる得意技を持っている。「実用的でラクな車」として GC8 インプレッサ WRX STi Version Vを購入。
高橋 涼介(たかはし りょうすけ)
身長183cm、体重64kg。赤城最速「赤城レッドサンズ」のNo.1。県外遠征し関東最速を目指す「プロジェクトD」のリーダー。群馬大学医学部に通う医学生でもあり、理論派で正確無比な天才ドライバー。プロジェクトDでは監督役となり、拓海と啓介の成長に欠かせないアドバイスを行う。従妹の緒美にはいいお兄ちゃんで、家庭教師をしている。 好きなキャラクターアンケートでは第4位。兄としての面目を果たした。愛車、FC3S サバンナRX-7 ∞(アンフィニ)IIIを何よりも大切にしており、かつては「赤城の白い彗星」と呼ばれていた。
高橋 啓介(たかはし けいすけ)
身長182cm、体重63kg。涼介の弟で、「赤城レッドサンズ」のNo.2。天性の才能を持ったドライバー。短気で喧嘩っ早いが、兄の夢の実現のため、ライバルであった拓海との対決を一時休戦し、「プロジェクトD」に全力を注ぎこむ。愛車は、黄色のアンフィニ FD3S RX-7 Type R。好きなキャラクターアンケートでは第5位だったが、女性にモテるタイプで、埼玉のFD3S使い岩瀬恭子が気になりつつもプロジェクトを優先する硬派な一面もある。パーなコギャルが嫌い。得意技は、ABSドリフトと意味不明な発言も。
武内 樹(たけうち いつき)
身長163cm、体重55kg。拓海と同じ高校に通う高校生。ガソリンスタンドでバイトをし、夢のマイカー(AE85 カローラレビン SR)を手に入れる。みんなにバカにされていたが、拓海の運転でAE85のダウンヒルを体験したことでマイカーを更に好きになり大切にすることを誓う。拓海もイツキには信頼を置いており、本音を語ることもしばしば。プロジェクトDの遠征先にも応援に行くほど拓海のよき理解者であり親友である。 好きなキャラクターアンケートでは第3位。台湾バナナ、走り屋が好むすべての車が好きだが、父親の乗っているFF・オートマでディーゼルの車をダサいとバカにして嫌っている。
あらすじ
物語は二部構成になっており、第一部が学生時代、第二部が「プロジェクトD」での公道バトルが中心となっている。 高橋 涼介・啓介率いる「赤城レッドサンズ」が、峠最速チームとのバトルをするため群馬県・秋名山に現れた。交流戦として啓介と拓海がダウンヒルを戦う。オバースピードでコーナーに突っ込むハチロク。誰もが自殺行為だと思ったその時、タイヤを溝に落として減速を最小限に抑えつつカーブを曲がる、道を知り尽くした拓海ならではのテクニックを見せつける。圧倒的なダウンヒルに兄、涼介も挑戦状を叩きつけるが、拓海の神がかったドライビングテクニックに敗北を期する。バトルの後の静寂が秋名山を包み込む。秋名の天才ダウンヒラーを世に知らしめる一戦となった。 妙義ナイトキッズ 中里、碓氷峠の走り屋 真子と沙雪コンビ、エンペラー 須藤、秋山 渉小柏 カイと強い走り屋と戦うたびに走りが進化してく拓海。高校卒業とともに第一部が終わる。 自身の公道最速理論を実証すべく、高橋涼介が結成した「プロジェクトD」のチームドライバーとなった拓海。啓介とともにチームのダブルエースとして切磋琢磨していた。もともと天性の感覚を持つ天才ドライバー二人に涼介の理論が加わり、それを支えるメカニックを備えたチームは、栃木県、埼玉県、茨城県、神奈川県と県外遠征し、各地の有名チームとバトルを行う。そして最終決戦は神奈川県箱根。歴代のドライバーたちが次月と観戦に現れる。独特の感性を持つ乾シンジとのバトルは、まさに死闘、抜きつ向かれるギリギリのラインで峠を駆け下りていく。ゴールライン、観客が見たのは二台の車のテールランプだった。ゴール手前、エンジンブローによるタイヤロックでスピンした拓海のハチロク、それをよけようとして同じく回転したシンジのハチロク。素早く反応した拓海のハチロクがゴールを突き抜け、ハチロク同士の頂上決戦は結末を迎えた。後世に語り継がれる伝説の公道バトルは静かに幕を下ろした。
見どころ
同級生のなつきが、男の車の助手席に乗ってホテルから出てくる場面を見てしまった拓海。言いようの無い怒りを胸に、エンペラー 須藤とのバトルに出向いていきます。S字セクションの出口、勝ちの走りを全開にした須藤のランエボに負けを確信した瞬間、突然ハチロクのエンジンから異音とともに煙が上がり、コントロールをうなった車がガードレールに突っ込んだ。動かなくなかった車の中、自責の念で茫然とする拓海を父 文太が迎えにくる。エンジンを壊したのは自分のせいで、文太が手を入れて特別なエンジンを載せかえると今までの車ではなくなってしまうと涙する拓海に、「おませのせいじゃねぇ」と声を掛ける文太。単なるカーバトルの漫画ではなく、車への愛を感じる感動シーンです。
感想
ぬぼーっとした高校生の拓海がハンドルを握るとカリスマドライバーに豹変し、ガリガリとドリフトをかましながらカーブをいなし、ダウンヒルを疾走する爽快感を感じる漫画です。バトルの合間に、拓海、イツキ、池谷先輩、啓介と恭子の恋愛ストーリーが織り交ぜられているので、緩急があるストーリー構成になっています。全編にわたり、絵の力強さと擬音使い、絶妙なアングルに車のエキゾースト音を感じる漫画です。静と動のコントラストも1つのバトルが終わった感を強く感じます。連載ではプロジェクトDの遠征先は関東エリアで終わってしまいましたが、個人的には全国の峠を回って欲しかったです。ぜひ、もう少し大人になってさらに成長した拓海を主人公にして、続編を作ってほしいです。