第8話 違う流れ
瑛子に勉強を教わる智と六郎。次の模試でいい結果を出さないとバンド活動の許可がおりないためだ。しかし集中できない様子の智。そこに燐とヒミコがお昼のそうめんを持ってきて一休止。縁側でそうめんをすする一同。相変わらず智と燐はぎこちない様子。燐との微妙な距離が縮まらないまま過ぎていく時間に焦りを感じる智。そして燐が好きという気持ちをますます抑え込むよう自分を律していく。これは償いなんだと…
そんな状況で、瑛子は演奏会への飛び入り参加の許可を取ったり北高生にバンドの曲を布教したり、六郎の件の誤解を解いたりと裏で動いていた。
そんな瑛子に燐は尋ねる。
「何でここまで協力してくれるの?」
瑛子は答える。
「私は私の責任を果たしたいだけ。私にはあなたみたいな歌声はないから自分に出来る事を精いっぱいするしかないの。だけど、あなたたちの夢を応援してるのは本心からよ。あなたは私のために歌ってくれたわ。文化祭ライブ、必ず実現させるわよ。」
その言葉に驚きながらも気合を入れなおす燐。
いよいよ演奏会当日。緊張で震えるヒミコ。そこに瑛子が焦った様子でメンバーのもとに現れる。そしてメンバーに伝言する。
燐が階段から転げ落ちて今、病院で手当てを受けていると。
それを聞いて走り出す智。制止するメンバー。
そこに教頭が現れ演奏会への参加取り止めを告げる。しかし智は自分がボーカルをするからやらせてほしいと教頭に頭を下げ、何とか参加できることに。ボーカルなどやったことのない智はガチガチに緊張。しかしメンバーの励ましもあり何とか緊張は解れた智。
いよいよ燐を欠きながらも演奏がスタート。
一番後ろで演奏を観る教頭。その教頭に声を掛ける人物が。智たちが利用するスタジオの店長である。店長は教頭の教え子でさらにははあの「Animato animato(アニマート アニマ―ト)」のメンバーだったのだ。そして中傷の対象となった教え子たちのため、教頭は憎まれ役を買っていたのだった。
無我夢中で行った演奏を終え、何とか成功を収めた智たち。翌日には元気な燐の姿も見れ安心のメンバーたち。さらにはなんと文化祭での公演が正式に許可が降りるという嬉しい知らせも。
大喜びのメンバーたちの中、智はようやくここまでたどり着いた達成感とこうして五人で過ごせるのもあと少しなんだろうという空虚感を噛みしめていた。