「アルキメデスの大戦」データと情報を駆使して、組織の謀略・不条理に挑む!!

アルキメデスの大戦 ~概要~

漫画「アルキメデスの大戦」は、三田紀房による大人気戦争フィクションコミックスである。2015年から講談社の「ヤングマガジン」にて連載された。そして2019年には実写映画化された。キャストには菅田将暉や浜辺美波、笑福亭鶴瓶など豪華なメンバーが起用された。

アルキメデスの大戦 ~登場人物紹介~

櫂 直(かい ただし)

本作品の主人公であり、元東京帝国大学数学科の学生である。22歳。頭が良くて、日本語の他にも英語やドイツ語など様々な言語に堪能な上、100年に一人の天才と呼ばれるほどの数学的発想も持ち合わせている。

田中 正二郎(たなか しょうじろう)

海軍省経理局の特別会計監査課所属。25歳。櫂の直属の部下。次第に櫂の優れた能力と理念に敬意を抱き、櫂に付き従って奔走する。

山本 五十六(やまもと いそろく)

海軍第一航空戦隊司令官。兵器の運用に関して航空機登用の時代の流れをいち早く感じ取っていて、藤岡の設計した航空母艦の建造計画を推進するべく櫂を海軍に引き入れた張本人である。巨大戦艦の建造に異を唱える。

平山 忠道(ひらやま ただみち)

海軍技術研究所所長。巨大戦艦「大和」を設計、冷徹に建造計画を進めていく。櫂とは敵対関係にあると認識しつつも、高度な技術的発想を評価している。一方、後ろ盾である嶋田の人命を軽視するような身勝手な言動には辟易している。

嶋田 繁太郎(しまだ しげたろう)

海軍軍令部第一部長。「巨大戦艦建造計画」を強く推し進め、平山案を支持し、山本五十六陣営と対立。五十六とは海軍兵学校時代の同期で犬猿の仲。様々な妨害工作を行う。出世欲が強く、利己的。

アルキメデスの大戦 ~あらすじ~

「これまでは戦艦が戦争のメインとなっていたが、今後の戦争は航空機が主体となって展開される。巨大戦艦はもはや不要となるだろう」と考える山本五十六海軍少将は、平山忠道造船中将が計画している必要以上に大きい巨大戦艦の建造計画案ではなく、対航空機用の戦闘スタイルを考えて藤岡喜男の提案する案に賛同する。

その一方で、平山は不当に安い予算の見積もりで、自ら推進している巨大戦艦の建造案「大和」を新型戦艦造船会議で通したいと考えている。そんな中で山本は、平山の計画を阻止するために元東京帝国大学生の櫂直を海軍主計少佐に抜擢するのである。

櫂少佐とその部下の田中正二郎少尉は、特別会計監査課の課長として、平山の思惑を阻止すべく、日本の技術戦略にまつわる多くの矛盾に直面していくのである。

アルキメデスの大戦 ~見どころ~

本作品は、国同士の激しい戦いを描いたストーリーではなく、兵器の建造計画をどのように推し進めていくのか、どういった戦略が練り込まれているのかといったところに焦点を当てた物語の構成となっている。基本的には人間同士の心理戦やその時代の背景などを含めて話が進行していく。

本作品の見どころとしては、昔戦争が行われていた時代にどういった策謀陰謀があったかということに関してリアルに描かれているという点だろう。特にミリタリーが好きな人はとても興味深い内容となっていると思われる。

アルキメデスの大戦 ~感想~

戦艦から航空機へと戦争のニーズが移ろいゆく時代であるために、数々の思惑があったが、その中で自分が置かれている立場を考えながら試行錯誤するので、先が読めないストーリーの展開に読者は引き付けられるだろう。

ただただ戦争のむごさを伝えるのではなくて、人間同士の知的戦略が練り込まれていて非常に満足のいく作品となっている。