薬屋の人生を描かれている謎解きミステリー「薬屋のひとりごと」

概要

漫画「薬屋のひとりごと」は原作者「日向夏」作画「倉田三ノ路」による「中華ミステリー」漫画。出版社小学館サンデーGXにて平成29年8月より連載。ビックガンガンでも作画「ねこクラゲ」による連載が平成29年5月より始めっている。

登場人物

猫猫

17歳。花街にて薬屋を営む養父を師として薬屋を目指す少女。薬草採取に出かけた折、人さらいにかどわかされ後宮に売り飛ばされる。身体に虐待のような跡があるが、これは自分で作った薬の効能を調べようと自分で実験した結果である。

壬氏

24歳。後宮の管理を行う宦官の一人。容姿が大変整っていて下女が姿を見れば頬を染め、声を聴けば失神する。男性であっても思わず赤面し夜の誘いをかける者がいるほど。普段は年齢に相応しい言動であるが、ふとした時に見せる雰囲気はもっと若いもののように思える。

玉葉妃

19歳。翡翠宮に住む妃の一人。西洋の出身でこの国では珍しい赤髪と碧眼。皇帝との間に鈴麗という娘が一人いる。後宮の謎の衰弱の原因を突き止めた猫猫を信用し重用している。壬氏の気持ちに気付いていてそれをからかったりいさめたりする貴重な人物でもある。

梨花妃

23歳。水晶宮に住む妃の一人。後宮に蔓延った謎の衰弱のせいで男子を一人失い、自身も死に瀕していた所を猫猫に救われた。その後立派な胸を猫猫の助言によって活用し皇帝の寵愛も取り戻した。猫猫を気に入っている。

漢 羅漢

軍篩で地位は将軍。碁と将棋が強く軍師としては優秀。しかし相貌失認であり他者の顔が識別できない。他者を将棋の駒として認識できるので人員配置が上手い。猫猫の実父で愛しているが猫猫には嫌悪されている。

あらすじ

薬屋のひとりごとは中国めいた世界観において起こる事件な日常の謎を後宮に売り飛ばされた薬屋・猫猫が解決していく物語である。薬草採取に出かけた際に人さらいにあって攫われてしまう猫猫。そのまま売り飛ばされたのは後宮であった。そこで下女として働き、2年もすれば出られるであろうと日々真面目に雑務をこなすことにする。薬屋として薬を作りたくて悶々とする日々であったがそこに呪いのうわさが耳に入る。二人の妃が体調を崩し、三人の御子が死んでいる状況を耳にしてつい薬屋としての好奇心を抑えきれず、猫猫はうわさ話をしていた下女たちに詳しい話を聞きに行く。症状の話は聞けたものの憶測しか出来ず、洗濯物を運ぶことで実際に妃を目にしようとすると二人の妃が言い争っていた。実際に妃の症状を見て確信を持つ猫猫だがそれをどう伝えるかを今度は思案し始める。その姿をとある宦官が見つめていた。治療も空しく東宮はその幼い命を失ってしまった。しかし公主は一命を取り留める。それは梨花妃が謎の書付を信じて実行したからであった。布切れに草の汁で書いたもの、それの差出人を探し出すことを壬氏は伝える。そして見事猫猫は壬氏の策略に引っ掛かり梨花妃の午前へと引きづり出される。要件が済み退出しようとする猫猫だったが壬氏に引き留められ、嫌々ながらも留まることを了承した。

見どころ

薬屋のひとりごとは好奇心が抑えきれずに首を突っ込んでしまった結果逃げられないドツボにはまっていく猫猫と、そんな猫猫を利用していたのにドンドン情が湧いてくる壬氏のやり取りが非常に面白いです。猫猫は年頃の娘と違って全く壬氏にときめきません。それよりも病気であったり治療法であったり薬草であったり毒物であったりを勉強・収集して時には自分の身体で実際に試したりすることを楽しんでいます。お洒落に至っては自分の顔にそばかすをわざわざ入れて醜女に見せるほどです。これは生活環境にも由来しますが。そんな猫猫の知識を利用していた壬氏ですが徐々に猫猫を心配し、気にし始めてから自分の素を見せ始めていきます。その気持ちは今のところ全く伝わっていませんが今後の変化も楽しみにしたいところです。

感想

一つ一つの事件や出来事が実は大きな事件に繋がっていて、その思惑などが明るみに出るのは推理作品ならではの楽しさです。一つの事件が解決したのにそれがなんで起こったのか、誰が起こしたのかなど複雑な事情、背景が少しずつ判明してその解決に尽力するものの賞賛を望むわけでもなく、時には死すら覚悟する猫猫は文字通り好奇心は猫を殺すんだなと思ってしまいます。個人的に一番好きなのは猫猫がそばかすを落とした場面。梨花妃のお付として化粧をせねばならない場面で他の面々によりそばかすを「落とされた」のが面白かったです。色街に居る以上自衛としては分かりますが徹底しているなぁと感心した半面それを見てからかおうとした壬氏が逆にあっけにとられて見惚れ、恥ずかしそうに謝罪するシーンはとても良かったです。