概要
漫画「けいおん!」は「かきふらい」による4コマ漫画で、女子高の軽音楽部でのメンバーの日常生活をコミカルに描いた作品。
2007年から2010年まで「まんがタイムきらら」で、関連誌である「まんがタイムきららキャラット」でも2008年より隔月連載されていた。
2009年からは京都アニメーションによってアニメ化されて大きな話題となり、2011年に映画化もされるなど、社会現象ともいえる人気を誇った。
登場人物紹介
平沢唯
「けいおん」の主人公。
高校に入学にするも何をすればよいかわからずにいたが、偶然見つけた軽音楽部の募集を見て部室に見学に行ったところ、ドラム担当である田井中律とベース担当である秋山澪、キーボード担当の琴吹紬に勧誘されて入部。ギター担当となる。
難しいギター理論や専門用語はさっぱりだが、絶対音感の持ち主で難しいフレーズでも感覚で何とかしてしまう。いわゆる天才肌。
秋山澪
サウスポーのベース担当。
ドラムの田井中律とは幼馴染で、律の誘いでベースを始めた。
人前に出ると震えが止まらないほどの極度の恥ずかしがり屋だが、本来のベースの腕はかなりレベルが高い。
もともとベースだけのつもりだったが、初めての学園祭でボーカル担当予定だった唯の声が枯れてしまうなどのトラブルの末、ボーカルやコーラスも担当するようになる。
田井中律
軽音楽部の部長でドラム担当。
中学時代に見たバンドのライブに感銘を受け、幼馴染の澪をバンドに誘った。元気で明るい性格で、軽音楽部を引っ張っていく役割だが、学園祭のステージ申請を出し忘れるなど抜けている面があり、よく澪に怒られている。
いわゆるボケ担当で、部室ではよく澪のツッコミとの掛け合いが見られるが、家では弟の面倒をよく見るよい姉としての一面もある。
琴吹紬
軽音楽部のキーボード担当。
当初は合唱部に入部する予定だったが、偶然、音楽室に居合わせた律と澪に軽音楽部に誘われて入部することになる。おっとりとした優しい性格で、実家は楽器店を系列に加えるお金持ち。
いつも家から余りもののお菓子を持ってきており、部員達とともに放課後に部室でのティータイム(バンド名である「放課後ティータイム」の由来)を楽しんでいる。
中野梓
唯たちの1年後輩のギター担当。
新入生歓迎ライブを見て感銘を受け軽音楽部に入部。真面目な性格のため、あまり練習せずに部室でお菓子ばかりを食べている先輩達に戸惑いを感じ、部を辞めることも考えていたが、唯の人懐っこい性格や放課後ティータイムのバンドとしての魅力から、正式に後輩部員として活動することになった。
唯とは正反対でギターの理論や用語にも詳しい。
あらすじ
高校に入学するも「何かしたいけど、一体何をやればいいのかわからない」状態だった平沢唯。
軽音楽部の張り紙を見て軽音楽部に入部届けを出したが、軽音楽がカスタネットを叩く程度のイメージしかなかった唯は、いつの間にか律たちにギターが上手く弾けると勘違いされていたこともあり、入部を断念しようとする。
しかし、部員不足での廃部を避けたい律と澪の懇願や、部室で食べられる紬が持参してくるお菓子を目当てに最終的に入部を決意。
ギター担当となるも肝心のギターを持っていなかった唯のために、部員総出でアルバイトをしたり、楽器店での(紬の家の権力を背景にした)値切り交渉などでギターを購入。軽音楽部としての活動がスタートする。
活動といっても部室でお菓子を食べてお喋りをするだけなのが実態だったが、真面目な澪の性格もあって、何とかバンドとしての活動を維持しながら学園祭での演奏を迎える。
しかし、当日に唯がボーカルの練習のしすぎで声が枯れてしまい、代わりに澪がボーカルを担当して演奏自体は成功するが、去り際に転んでステージ上で下着を晒してしまうトラブルで幕を閉じる。
なお、学園祭ライブの際に顧問の山中さわ子により、バンド名が「放課後ティータイム」に決定。
そんなドタバタな軽音楽部だったが、何とか2年目に突入し、後輩の中野梓が新入生歓迎ライブに感銘を受けて入部してくる。真面目一辺倒だった梓は、碌にバンド活動をせずに部室でお菓子ばかりを食べている唯たちに呆れ、一時は退部を考えるものの、放課後ティータイムとしての演奏が(普段まともに練習していないにもかかわらず)巣晴らしかったことから、最終的に軽音楽部での活動を決意する。
最終的に5人となった放課後ティータイムは、合宿やライブハウスでの演奏などを通してお互いの絆を強めつつ、文字通り放課後のティータイムを楽しみながら充実した学生生活を送る。
見どころ
女子高生が放課後に美味しいお菓子とともにティータイムを楽しむ様子はもちろん、日々の「ゆるい」活動のなかにも、徐々に放課後ティータイムがバンドとして成長していく様子が見られる。
特に入部当初はギターに触ったことすらなかった唯は、日々の練習や学園祭での演奏などを経て、人前で堂々と演奏できるまでに成長し、最終的には「軽音最高!」と思えるまでになる過程が見どころのひとつとなっている。
それぞれのキャラも魅力的で、基本的に抜けているが天才肌の唯とムードメーカーだがいい加減な律、真面目だが最終的には律の言うこと合わせてしまう澪、二人のやりとりを楽しそうに見ている紬、そして後輩なのに唯にギターを教える立場になってしまう梓。
この5人の日常のやり取りが楽しい。
感想
京都アニメーションによるアニメ化で一気にブレイクした本作品だが、原作である四コマ漫画のクオリティも非常に高く、大人でも楽しく読むことができる。
軽音楽部としての活動よりも、バンド名「放課後ティータイム」の名のままに、部室でお菓子を食べながらのやり取りが基本で、かわいいキャラたちの掛け合いを楽しみたい人にはおすすめ。
いわゆる日常系の作品なので何も考えずに楽しく読めるだけでなく、要所要所に音楽好きの人が「にやり」とするような話題も扱われており、バンドをやっていた人ならば共感できるエピソードもたくさんあるので読んでいて飽きない。
特にギター初心者がつまずきがちな「Fコード」や「Gコード」についてや、チョーキングやビブラートについての話もあるなど、本作品をきっかけにギターを始めたという人も少なくないようだ。
有名アニメ会社が制作したビッグタイトルなので、どうしてもアニメの印象が強くなってしまいがちだが、原作もアニメ版に負けず魅力的なので、ぜひこの機会に読んでみて欲しい。