過激な青春!惡の華

概要

悪の花は、押見修造さんによる、青春漫画です。2009年から別冊少年マガジンで連載されました。2014年まで連載は続き、単行本は全部で11巻出てます。2013年にアニメ化、2019年に実写映画化もされている、人気の高い作品です。

登場人物

春日高男

本作の主人公です。物語開始当初は中学2年生で、その後、話が進むにつれて高校2年生になっています。地味で目立たない存在でしたが、思いを寄せる佐伯奈々子の体操着を盗んでしまった場面を仲村佐和に目撃されてしまい、非日常に足を踏み入れます。ヒロインである佐伯奈々子、仲村佐和、そして高校編では常磐文との間で歪んだ恋愛を展開していきます。

仲村佐和

本作のヒロインの1人です。春日と同じクラスで、普段は春日同様目立たない存在ですが、春日と2人きりになると饒舌になり、感情も豊かになります。社会に対しての協調性に欠けており、教師などの大人に対しても威圧的な態度を取ります。変わったキャラクターではありますが、そんな仲村に、徐々に春日は思いを寄せます。

佐伯奈々子

本作のもう1人のヒロインです。春日と同じクラスで、男女問わずクラスメイトから人気が高い、優等生です。見た目もよく、春日が中学1年生の頃から思いを寄せる存在でもありました。春日に体操着を盗まれたことを1つのきっかけとして、そこから様々な出来事を通して、なんと春日と付き合うことになります。しかしその後は春日とうまくいかず、嫉妬などに心を蝕まれ、徐々に問題行動を起こすようになります。

常磐文

高校編のヒロインです。少し仲村佐和と似ているところがあり、春日に関心を抱かれます。春日とは同じ高校ですが、クラスは別です。美人でスタイルがよく、クラスで人気という点では佐伯奈々子とも共通点があります。後に春日と付き合うことになり、自分の夢を打ち明けます。

山田正和

サブキャラクターの1人です。太めな体格で、明るい性格。しかし、春日がある出来事がきっかけでクラスメイトから避けられるようになったときは、自分も同じく避けるような態度をとったりなど、若干冷たい一面もあります。

あらすじ

春日高男は、中学2年生。1年生の頃からクラスの美少女佐伯奈々子に思いを寄せていました。ある日の放課後、出来心から奈々子の体操着を盗んでしまい、さらにその姿を仲村佐和に目撃されてしまいます。そこから仲村佐和に服従を強いられるようになり、奈々子に関する様々な無茶な要求をされます。その後、春日はあることがきっかけで奈々子と付き合うことになりますが、その中で奈々子に対する背徳感、そして仲村の存在などから悩みを抱えるようになります。一方の奈々子も内にある若干狂った意思を徐々に出すようになっていき、春日と奈々子、それに仲村佐和も加えた3人の思いは混沌を迎えていきます。高校生編では、春日は、仲村佐和や、佐伯奈々子とは別の高校に通っており、全く違う場所で生活を送っていました。しかし、春日は仲村への思いを捨てきれず、気の抜けた日々を過ごしていました。そんな中で、仲村佐和に似た雰囲気を持つ常磐文と出会い、彼女と交流を深めていきます。常磐文も春日との出会いから自分の秘めた趣味をさらけ出すことが出来るようになり、普段の生活とは違う、内向的な面を出せるようになりました。そのことがきっかけで、春日と常磐文は付き合うことになり、物語はさらに進みます。

見どころ

見どころは、青春時代らしい青さや危うさを、鈍く表現したその心理描写でしょう。少々どきつい場面もありますが、思春期に誰もが持っているような本心をうまく扱っています。それは普通の人では決して実際の行動に起こせるようなものではありませんが、この漫画の登場人物達は、それを実際に行っているのです。読んでいるこちらも背徳感を感じるような描写の数々は読者を引きつけ、同時に後味が悪いような、それでもどこかすっきりとするような、不思議な読後感を与えてくれます。

感想

思春期にこの作品を読んでいたら、変な方向に走ってしまったかもしれないと思ってしまうほど、危うい魅力を持った作品です。読者の心に強い影響を与えるものだと思います。非常に中身の濃い作品ではありますが、巻数にして全11巻と、最近の漫画の中では短くまとまっており、読みやすい長さだと思います。押見修造さんの他の作品も、この作品同様、人間の鈍い心を描写しているものが多いため、この作品が心に刺さった方は、他の作品も読んでみることをおすすめします。