冴えない初老が主役!?奥浩哉ワールド「いぬやしき」

概要

漫画「いぬやしき」は奥浩哉によるSF漫画。2014年から2017年に講談社のイブニングにて連載。全10巻。2017年にアニメ化されフジテレビ系列で放映、2018年には佐藤信介監督のもと映画化されている。

登場人物

犬屋敷 壱郎(いぬやしき いちろう)

妻と娘、息子の4人家族。58歳だが年齢よりもとても老けて見える。家族にも世間にも不満などひとつも言えず、孤独を感じながら生きている。胃がんにより余命3か月と宣告を受ける。

獅子神 皓(ししがみ ひろ)

高校生。犬屋敷壱郎の娘と同じクラス。両親は離婚していてアパートに母親と2人で暮らしている。親友の安藤がいじめによって登校拒否気味になり、登校させるために守っていこうとする。

安堂 直行(あんどう なおゆき)

高校生。獅子神と親友。あだ名は名前から「ちょっこー」。同級生によるいじめで登校拒否気味となるが獅子神によってまた学校に行くようになるが、ある事件によって獅子神と絶好することになる。

犬屋敷 麻理(いぬやしき まり)

犬屋敷壱郎の娘、高校生。獅子神と安藤と同じクラス。両親に似ずとても美人だが、性格は悪いと言われている。父親が老けているのが恥ずかしく、友達にはおじいちゃんと言っている。

犬屋敷 剛史(いぬやしき たけし)

犬屋敷壱郎の息子、中学生。父親に似て背が小さく、内向的な性格。同じ学校の不良グループからかつあげをされている。父親には何も期待しておらず、家族を「ホビット族」と呼んでいる。

あらすじ

犬屋敷壱郎は一軒家を購入するも家族からは不満しかでてこない。 何をしても不満しか言われず、疎外感やさみしさが募っていく。 また、胃がんにより余命三か月と宣告を受けてしまう。 家族には伝えるタイミングがなく悲しみから公園で泣いているとき、高校生の獅子神皓とともに公園で宇宙人の事故に巻き込まれてしまい、2人は体が機械になってしまった。 のどは渇くし味覚はおかしい、レントゲンは正しく写らない。 ただし、今まで痛かった腰痛は治り眼鏡がなくてもハッキリと見えるようになった。 空を飛んでいる飛行機に乗っている人の顔までハッキリ見える。 不思議な力を手に入れた犬屋敷壱郎は人助けによって自分の存在意義を見出そうとしている。 助けてと求めている人がいるところに行って助けてあげて、現代医療では助からない重病人の治癒を行うため色々な病院に出向き、得た力を他人のために使っている。 一方、獅子神皓は犬屋敷壱郎と反対に、殺人を繰り返している。 母親や親友には守るために使うが、生を実感するために人を簡単に殺していく。 それぞれ使い方が違う2人だが、共通するのは大事な人のことは守りたい。 地球に隕石が衝突するといったニュースが流れたとき、隕石を爆発させるため犬屋敷壱郎と獅子神皓は命をかけて地球を守ろうとする。

見どころ

体が機械化された後の犬屋敷壱郎の変化。犬屋敷壱郎は疎外感などを感じ、自分の人生とは何だったんだろうと悩んでいたが、力を得てからはとても堂々して人生を有意義に生きているように感じる。家族から何も期待されず求められていなかったが、自慢の父親と変わっていき、最後は命をかけて人々を守ろうとする壱郎に対して家族は涙し、悲しんでくれた。壱郎が余命宣告されたときに不安になっていたことが解消され、家族に愛されながら最後を迎えることになった。

感想

犬屋敷壱郎と獅子神皓の人生が力によってどう変化していくのか、どこまで暴走していくのかドキドキしながら読むことができました。獅子神皓は悪役のようになってしまいましたが、最後は大事な人を守るためといった元々持っていた優しさを見ることができてよかったです。犬屋敷壱郎は最初さみしそうな人生だったのがみなに愛されるような人生になって感動しました。最後には家族がひとつになった姿も見れて、一軒家を購入していなかったら機械化されることもなく家族団らんすることもなかったんだなと思います。