概要
漫画「アイアムアヒーロー」は、花沢健吾さんによるサスペンスホラー漫画。
2009年から2017年までビッグコミックスピリッツで連載。単行本は全22巻。スピンオフ作品も複数あり、また実写映画化もされています。
登場人物紹介
鈴木英雄
本作の主人公。35歳。
漫画家ですが、今はアシスタントとして生活しています。
臆病で繊細な性格で、妄想癖を持ち、それが困難を乗り越える武器となります。
また、散弾銃を持っており、それもまた逃亡生活の役に立ちます。情けない中年男性ですが、その名の通り、ヒーローになるために奮闘します。
早狩比呂美
今作のヒロイン的存在。
女子高生で林間学校の最中に英雄と出会います。首筋を噛まれて、半分感染した状態となり、本来の人格と、ゾンビとしての人格が混在しながら、英雄と逃亡生活を送ります。
英雄は、彼女を守るために発泡も厭わなくなり、彼の倫理観を変えるきっかけとなりました。
小田つぐみ
アウトレットモールに避難していた女性。元々は英雄と別のコミュニティに所属していましたが、感染してもゾンビ化しない比呂美がこの問題の解決の鍵になると考えて、行動を共にします
。英雄とも仲がよく、物語序盤の間は、3人で逃亡生活を送ることになります。
黒川徹子
英雄の恋人。かつて漫画のアシスタントをしていました。その時に同僚だった中田コロリと付き合っていたことがあり、別れた後に英雄と付き合い始めた後も連絡を取り合っていました。
それが英雄の不満の1つでもありました。物語開始直後に感染し、ゾンビとなり、英雄を襲いかかります。
中田コロリ
徹子の元恋人。
かつてはアシスタントでしたが、漫画家としてデビューを果たしています。
コロリ当人は、英雄に、漫画家としての才能を感じていました。カリスマ性も持ち合わせており、コロリ隊として物資の補給などを行っていました。物語終盤まで鍵となる重要な登場人物です。
あらすじ
主人公、鈴木英雄は35歳の漫画家。しかし、連載は無く、アシスタントとして生活していました。
恋人の黒川徹子のことを大事に思っていましたが、彼女が度々元カレの中田コロリを引き合いに出して英雄をなじることに不満を持っています。
そんな折、全国で噛みつき事件が起こります。さらに噛まれた人々がゾンビのようになる奇病が蔓延し、感染者が街に溢れることになりました。
英雄の恋人、徹子も感染し、英雄は泣く泣く彼女を殺します。その後早狩比呂美、小田つぐみなどと出会い、行動を共にしながら、解決策を見つけるために奔走します。
つぐみは、ゾンビに噛まれながらも発症しない比呂美が、問題の解決の鍵になると考え、その免疫力に注目していました。
また別の場所、引きこもりの江崎崇は、ネット上の匿名掲示板で来栖と呼ばれる人物が率いる一派に加わります。その一派はゾンビ達の生態を観察しながら、暮らしていました。
さらに他の場所では中田コロリが、コロリ隊を結成し、物資を補給し主宰者の浅田に対して、クーデターの機会を伺っていました。鈴木英雄達3人と、来栖一派、そして中田コロリのコロリ隊、3者の行く末はどうなるのか、物語は様々な人達を巻き込み、結末へ向かいます。
見どころ
パニックホラーらしく、登場人物の誰が死ぬのか、誰が生き残るのかがわからない、ハラハラする展開です。
重要そうな登場人物も、簡単に死んでしまったりして、全く先が読めません。
また、伏線のばら撒きと、その回収も行われるため、そういった、考察などの要素が好きな方にも楽しめます。
登場人物全員が弱さも持っていて、そんな心の弱さも丁寧に描写されています。
完璧な人間がほとんど出ていないため、人物の心理に共感できるのも、魅力です。
感想
特に序盤の盛り上がりは素晴らしいです。次々と起こる展開に、ページをめくる手が止まりません。物語が終わりに行くに連れて、段々と先細りになっていきますが、なんとか着地点を見つけており、十分な内容と言えると思います。
全体の長さも、全22巻と最近の漫画としては普通の長さなので、一気に読むとあまり中だるみを感じることなく読めると思います。
結末は賛否両論あると思うので、最後まで読んだら、他の人の感想と照らし合わせるのも面白いでしょう。
人間の弱さを丁寧に描いており、パニックものの基本も押さえてあるので、たくさんの方が楽しめる作品であると言えると思います。