「楳図かずおのホラーマンガ「漂流教室」から、集団心理の危険性を探る

こんにちは、ニケです。皆さんは、「集団心理」という言葉をご存知でしょうか?
人は集団の中にいるとき、一人の時とは異なる心理状態になることがあります。
それを「集団心理」と呼びます。

例えば、あなたは横断歩道で信号待ちをしています。すると、近くにいた人たちが次々と信号を無視し横断歩道を渡り始めます。
そんな時、あなたはどう思うでしょうか?きっと『みんなが渡っているから、私も渡って良いだろう』という気持ちが芽生えるのでは無いでしょうか?
このような感情が、集団心理の一つと言えます。

集団心理の特徴として
・匿名性が高くなることからモラルが低下する
・みんなと同じ行動をすることで安心感を得る


等があります。
災害や事件に巻き込まれ極限状態に陥っている時、この集団心理が働く事は暴動やパニックを引き起こすきっかけになります。
今回は楳図かずお先生のホラーマンガ「漂流教室」から、この集団心理の恐ろしさを探っていきたいと思います。

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「漂流教室」作者:楳図かずお 【全11巻】

あらすじ

主人公の高松翔が通う大和小学校は、ある日突然激しい地震に襲われる。
気がつくと、学校と校内にいた人達は異世界へとワープしてしまっていた。
そこは、荒れ果てた地に囲まれ、怪物達が蠢く恐ろしい世界。
ワープしてしまった生徒・先生達は、生き延びるために殺し合い、食糧を奪い合う。
極限状態に陥る中、主人公の高松はみんなをリードし元の世界へ戻る方法を必死で探していくー。

ガ漂流教室」 集団心理のが起こした3つのケース

「漂流教室」では、集団心理による暴動やパニックがいくつも描かれています。
今回はその中から、3つのシーンをご紹介したいと思います。

ケースその1 火あぶりの刑

タイムワープし混乱が続く中、ある噂がみんなに広まります。
それは、『名字の始めに「た」がつく人のせいでこの異世界に来てしまった。その人を火あぶりにし槍で突き刺し、流れ出た血が火を消せば自分たちは助かる』というものでした。
そして、名字の頭文字が「た」である辰巳くんが、十字架にかけられ火をつけられてしまうのです。

一体どこからそのような噂が流れたのでしょうか。
伝言ゲームの様に、話が変な風に伝わり広まってしまったのかもしれません。
しかし通常の精神であればこんな事には至らなかった事でしょう。これこそまさに集団心理の恐ろしさであると言えます。

ケース2 鳥になりたい

様々な事が巻き起こり、恐怖と不安でいっぱいになった低学年の子供達は、校舎の屋上で「お母さん、お父さんに会いたい」と泣き叫びます。
すると一人の男の子が「鳥になってパパとママに会いに行く」と言い、屋上から飛び降りてしまいます。
当然鳥になれる訳もなく、男の子は死んでしまいます。しかしそれを見ていた他の低学年の子供たちは、飛び降りれば鳥になれると勘違いし、次々に屋上から飛び降りてしまうのでした。

集団行動の心理と共に、幼い子供たちの考えが起こしてしまった悲劇でした。

ケース3 飢餓状態による究極の選択

食べ物が底をつき、飢餓状態になった子供たちは、通常の思考を保てなくなっていました。
そしてついに、一人の死体を丸焼きにし、みんなで貪ります。一人では躊躇するような行動も、集団になると罪悪感が薄れてしまうのです。

集団行動の際に重要なこと

さて、上記では追い詰められた状況で集団心理が起こす恐ろしい事例を紹介させて頂きました。
このような恐ろしい事態を招かないためには、どうしたら良いのでしょうか?

実は、物語で重要な役割を果たす、IQ230の天才小学生・我猛(がもう)くんがヒントを与えてくれています。

我猛くんは、危機的な状況に多数の人間が落ちいったときは、まずリーダーを決めることが一番重要だと言っています。
また、リーダーは女性より男性の方が適任とも言っています。それにはきちんとした理由があり、女性は子供を産み育てる性質を持っているため、男性よりも視野が狭くなってしまうからです。
リーダーになるべく人間は、広い視野で物事を考え決断出来る者でないといけません。
そして、リーダを決めたら、次はリーダーを支えるサブリーダーを決めていきます。
物語では、リーダーを総理大臣とし、サブリーダーは役割ごとに厚生大臣、防衛大臣などと名付けていました。まさに的確なアドバイスと言えると思います。
こうして冷静に物事を考えてくれる我猛くんのような人がいると、ほかの人も冷静になれることでしょう。

まとめ

今回は、楳図かずお先生の「漂流教室」を元に集団心理についてご紹介させていただきました。
さて、集団心理が起こす狂気も恐ろしいですが、それ以上に楳図かずお先生の絵とストーリーはものすごく恐ろしいです。
恐ろしいながらも、どんどんとその世界観に引き込まれて行ってしまいます。
皆様も是非、楳図かずお先生のホラーな世界ををご堪能してみてはいかがでしょうか?