『異世界居酒屋「のぶ」』見慣れたはずの唐揚げやナポリタン等が仕掛ける飯テロの嵐!

異世界居酒屋「のぶ」 ~概要~

漫画『異世界居酒屋「のぶ」』は原作・蝉川夏哉、漫画・ヴァージニア二等兵によるグルメ漫画。小説投稿サイト「小説家になろう」に2012年から投稿され、「ヤングエース」にて2015年にコミカライズで連載。全(既刊)9巻。また、アニメ「異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~」が、2018年からBS11、J:COMテレビ、キッズステーションの3つ放送局にて放送。

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異世界居酒屋「のぶ」 ~登場人物紹介~

タイショー(矢澤信之)

居酒屋「のぶ」の店主。元は料亭「ゆきつな」で働いていた板前だったが、店を辞めて居酒屋「のぶ」を構えることに。客からは「タイショー」と呼ばれている。

一見は口数少なく無愛想に見受けられるが、客と和やかに話したり客に合わせた料理を出したりと、おもてなしの心を持った古典的な日本らしい料理人である。

しかし自分のまかないは客に譲らなかったり、自分の晩酌用のベーコンをこっそり食べていたシノブに圧をかけたりと食べ物への執着は強い。

よく食材を仕入れすぎたり、あまり使わない食器を買ったりしてよくシノブに怒られている。

シノブ(千家しのぶ)

居酒屋「のぶ」の看板娘の給仕。料亭「ゆきつな」の一人娘だったが、訳あって家出をする。その途中で矢澤信之と出会い、一緒に居酒屋「のぶ」で働くことに。

客に対する細やかな気遣いと彼女の笑顔からか客からの人気が高い。また味覚に鋭く、彼女が作るまかない料理も絶品である。

タイショーのベーコンを隠れて食べたり、自身お手製のプリンをタイショーにはあげないで自分の分だけ確保したりとちゃっかりとした面も。

ハンス

古都アイテーリアの衛兵であり、真面目で素直な青年。同僚のニコラウスに誘われたことがきっかけで居酒屋「のぶ」の常連に。

トリアエズナマ(生ビールのこと)やオーディン鍋(おでん鍋のこと)など最初は見慣れない食事に驚く一方だったが、その味に感動して足しげく通うように。好物はサトイモ。シノブに惚れている。

ニコラウス

古都アイテーリアの衛兵であり、お調子者で色男な青年。同僚のハンスを居酒屋「のぶ」に誘った「のぶ」の常連客。

お調子者で痛い目にあうこともしばしばあるが、時には規律に従う真面目な一面も。好物は唐揚げやチキン南蛮などの鶏肉料理。

異世界居酒屋「のぶ」 ~あらすじ~

異世界の古都・アイテーリアの通りに構える、異世界の他の店とは雰囲気が異なる居酒屋「のぶ」。そこには腕のいい料理人・タイショーノブと、笑顔で出迎えてくれる看板娘・シノブの2人が切り盛りしていた。

キンキンに冷えた「トリアエズナマ」という名前のエール、日によってメニューが変わる「オトーシ」、見たことのない食材が使われた「オデン」という煮込み料理……など、アイテーリアの人々には見たことのないものばかりで不思議な店だが、その居酒屋「のぶ」で出る料理が美味いとアイテーリアの人々の間で噂となる。

しかし、そんな評判を聞いて居酒屋「のぶ」に様々な客が暖簾をくぐって来店してくる。神経質な徴税請負人味にうるさい子爵家の令嬢美食家と名高い男爵食を謳う吟遊詩人等々、様々な無理難題ともいえる注文する客たちが暖簾をくぐって来る。また、厄介ごとを抱えた来客も次々と登場し、まさかの居酒屋「のぶ」の存続の危機にまで!

果たしてそんなお客たちにタイショーとシノブはどんなおもてなしをするのか?

温かな料理と居酒屋「のぶ」を通じてどんどん繋がっていく温かな人々の縁が見どころの、思わず居酒屋に行きたくなる異世界グルメ漫画である。

異世界居酒屋「のぶ」 ~見どころ~

見どころは大衆的な居酒屋メニューの品々と、それを美味しそうに食べる人々の表情である。漫画に出てくる料理はおでん、若鶏の唐揚げ、ナポリタン、餡かけ湯豆腐等々、一品一品は高級なものではないのに、それらを異国の料理として新鮮そうに食べる登場人物たちのリアクションに思わず読者もゴクリ、と出てきた唾を飲んでしてしまうような、まさに「飯テロ」な漫画だ。

また、見どころは出てくる料理が美味しそうなだけでなく、居酒屋「のぶ」を通じて身分や地位などの隔てなくどんどんと様々な人々の縁が出来てゆく。最初は見たことない美味しい料理を目当てに来ていた客たちが、だんだんと料理だけでなく居酒屋「のぶ」が出す温かな場所を求めに来店してくる。そんな人々の至福の時が描かれているところもこの漫画の見どころだと言える。

異世界居酒屋「のぶ」 ~感想~

この漫画を読む前は、タイトルの「異世界」という部分から、現代の知識や技術が異世界で活躍するストーリーなのかと勝手に想像していた。だが実際読んでみると、確かに現代の料理に触れた人々は「見たことない料理だ」と口々にして驚きながら舌鼓を打つ。だがそれが元で天変地異が起こったり、世界が救われたり……なんてこととは起きない。この異世界には異世界なりに生活や文化の基盤があり、その生活の基盤の中に少し異彩を放つ店が増えただけなのだ。

そういった、いわゆる「なろう系」の漫画と異なる点がこの漫画にある。ある意味、異世界という名前はついているものの王道的なグルメ漫画だ。

また、私がこの漫画の中で好きなところは登場人物たちの変化である。先ほども言ったがこの漫画は現代の料理が元で大きく何かが変わることはない。ただ異世界で評判になる程度なのだが、その評判を聞きつけた人々が集まり、そんな人々が集まることで、少しずつ登場人物たちの心情がわからないくらい些細かもしれないが、変わっていく。そんな人々のちょっとした心の動きも私はこの漫画の良いところだと感じる。


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