パワーアップしたボッジ王子「王様ランキング」ネタバレ5巻

王様ランキング
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弟のダイダが仕掛けて弱虫王子ボッジは、奈落に落とされてしまいます。
しかし弱虫王子ボッジは師匠と出会って修行を重ねることで、強い王への道のりを歩み始めます。
一方、その卑劣な弟ダイダは、鏡の人物に秘薬を与えられて気を失ってしまいます。悲しいことにボッジから王様という立場を奪い取ったダイダも、奪われる側の人間だったのでした。
そしてボッジとダイダの父親であるボッスが復活することになります。ボッスは復活してどうするのか?そして肉体を乗っ取られたダイダはどうなってしまうのでしょうか。

5巻ネタバレ

パワ-アップしたボッジの帰還を待つ王国

今まであまり陽の当たらなかった人物たちの想いが伝ってくる展開になっています。
だから、前回から話自体は大きくは進みませんが、 回想中心なので各キャラたちが掘り下げられていくのが良いです。
精読しても、話が見えない人が沢山います。そうした人が登場人物の人間関係と話の中でのそれぞれの立ち位置を再度整理する意味で、大変意味のある王様ランキング5巻であります。今まで、「これなに?」「誰なの、この人・?」が腐るほど出てきていますが、それがかなり解消されるはずです。

ヒリング王妃の本当の姿

あの情熱の人、あるいは発達障害とも取れる人になります。
ボッジのために必死に手話を覚えるヒリング王妃をセリフなしで表現していくシーンには感涙。

息子の体を乗っ取ったボッス王に立ち向かう王妃ヒリング。真っ直ぐだが、本当に不器用な女性で、感受性が強く傷つきやすいので誤解を周りに与えることがあります。
だからこそ、他人の痛みがわかる人ではあります。今までのヒリングのイメージが大きく変わるのです。前巻でも取り上げられていた、ヒリングとは少し変わります。
ダイダの中身がボッス王と知りダイダを憂慮しうろたえるのです。ヒリングの事を、ボッス王を盲目的に信じる少し愚かで、ちょっと強さの足りない人だと思っている人が多いなか、実はという切り口での描写があります。

ヒリングは最初ひどい母親という風に描かれていましたが、
自分の命(エネルギー?)を使って人の怪我を癒やし(だから名前がヒリング?)ポッジにも溢れる愛を注いできたのでした。

そしてドルーシはヒリングの護衛になった時のことを思い出します。
ドルーシはヒリングを襲いにきた魔物を倒し、傷を負ったドルーシをヒリングが治す。ヒリング暗殺失敗を悟ったミランジョは冥府に魔物を集めに行き、ヒリングはボッス王にダイダを返すよう訴える。
ボッスの中にダイダがいることに気づいたヒリングはダイダを助けるためボッスを刺そうとしてドルーシに止められ気絶させられる。

そしてダイダは暗闇の中で人殺しと言われ顔の皮膚を剥がされ両手を切り落とされたミランジョに出会うのです。
この辺りはこの作家の画風だから許容できるですが、描写の鋭い作家の物だったら気分が悪くなったのではという風に感じます。

ヒリングとドル-シの温まる関係

ヒリングとドル-シの関係についても、はっきりとわかりますし、この王様ランキング全般に言えることではあります。
生まれついての悪人はいないというテイストが施されています。これは癖になります。読んでいてほっこり感が伝わってきます。


そして主役であり、この王様ランキングの範馬勇次郎であるボッスは、少し登場します。
ボッスはヒリングに復活を明かします。ボッスは、ボッスとヒリングのふたりだけが知りえる告白したときの状況を再現して、その言葉に嘘がないことを証明する。
ボッスの肉体が健在だったころ、ヒリングの護衛に任命されたドルーシという男は”王の槍”を任されていて、ヒリングの命を狙う魔物と、覚悟してドルーシは戦ったのでした。

そして「ボッス様の威光が届く、この平和な国でいったい何から守るのですか?」とやり取りをするのでした。
当然「あなた様がボッス様だとしたらダイダは?ダイダはどこにいるのですか?」と子供を愛してやまないヒリングは、
ボッスの器となったダイダの身を案じ、卒倒してしまうのです。

ただボッス王が家族全部を殺してしまってもいいと思っているのかが1番理解に苦しむところです。
そして…陰で糸を引くミランジョとは何者かということは物凄く気になるのですね。

ダイダとボッスの親子

この王様ランキングのもう一人の主役であるボッジの弟です。
そして、実のおやじ、王様ランキングの範馬勇次郎であるボッスに体を乗っ取られてしまったダイダは宙ぶらりんの状態が続いています。
暗闇の中で自分に何ができるのかを考えているダイダは『そういえば…兄上の見ている世界もこんな感じなのか?」と幼少の頃を思い出すのです。

そして、暗闇の世界で”ミランジョ”と出会うのでした。
このダイダは1巻で特になんの恨みもない主人公に対して後遺症を負わせる目的で滅茶苦茶に暴行を加えた過去があり、その時は読者の人たちは「許さない、このサイコ野郎」という反応だったかと思います。

その人が、特に反省もせずに、そればかりか親父に乗っ取られて…。
可哀想な感は全開ではあります。
まあ範馬刃牙が範馬勇次郎に乗っとられるところを想像したことがありませんが…敢えて考えてみると、大変気の毒な感じが理解できるというものでした。
王様ランキングとバキ道では、舞台が全く異なりますが、良く見ると共通なところもあります。

傑出した能力の超人を親父に持ってしまった普通の息子の葛藤の物語ということが、言えるのです。

息子の様々な成長の過程で、この超人親父が悪く顔を出して、話を混乱させるのであります。
それがいい方向に行くのか、はたまたその逆の方向に行くのかはこれからの楽しみということになります。

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感想

今までの王様ランキングと読んできたら,引きこまれること間違いなしです。
ただメインの数人以外の登場人物の位置づけがまだぐちゃぐちゃになってるのも否めません。

その為に、リセットする意味でもこの王様ランキング5巻はとても良いと思います。作者自身も、方向性がはっきりさせられたのではないかと思いました。
まあキャラだてが、そろそろ出来る時期なので、当然かと思います。ただ一般作品ではあまりそういうことはしないのですが、人気作品ゆえに可能なことなのかと思いました。