王様ランキング | ||||
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ボッジはボッス王国の第一王子で、とても非力です。その父王はほぼス-パ-マンだから周囲の視線は冷たく、耳が聞こえないのでずっと笑うしかありませんでした。将来的には盟友となるカげと出会ったのもこの頃でした。
そのカゲに対して服を貢いだのは、カゲのような日陰者に手を差し伸べるためでした。そうした中で芯の強さと王としての器の大きさをボッジに感じたカゲは、ボッジの味方となることを決意するのでした。
3巻ネタバレ
ボッジの弟のダイダに大きくスポットが当たります。そしてそのダイダの忠臣ドーマスの心の展開が興味深いです。ダイダの右腕になるべく密命を受けてボッジを殺害しようとしたドーマスの心情は身につまされる感があります。
そして途中から、ダイダによって、一つの歯車としていいように使われたことを自覚しつつも「自分のしたことに誇りを持つべきだ」と無理矢理納得しようとするドーマスは日本のやくざでヒットマンにされて組織から切られるヤクざを彷彿すらさせました。
だから、子供マンガだけど、勧善懲悪のシンプるな話ではなく、わりと深い話から始まります。部下のドーマスをもてあそぶ悪人という感じがするダイダはボッス王国の第二王子で、ボッジの弟です。
英才教育を受けて、文武両道で大人も顔負けなほど剣術に秀でています。
当然ことながら、非力な兄よりも背が高く、力も強いダイダは、王としての期待を受け、厳しく育てられてきました。
そのせいか、長男ボッジを妬ましく思う、屈折した一面もあり、アベンジャ-ズのソーとロキの関係を思い出してしまいます。
ただ、ソーはロキを凌駕していましたから、厳密には違いますが、皇室の跡取り問題ということで、お約束の展開になっています。ロキほどダイダは悪くありません。
そしてそれなりの葛藤の後、ダイダはついにはボッス王の遺言に背き、兄ボッジを差し置いて次の王へと即位します。
来た来たという感じの展開になります。ここで、ボッジがいざ鎌倉いうことで、王室に舞い戻り、「おいダイダ、何をしている。」という展開になるということはありません。
ここが素晴らしいですね。
アベンジャーズのソーとロキの関係では、これがもとで争いが始まり、やがては戦争にすらなってしまいますが、王様ランキングではそんな安易な展開にはならないのです。
日頃からに、ダイダは鏡(ミランジョ)に何事につけても相談に乗ってもらい、彼女の言う通りに国を動かしていたのでした。
それは適正なAI機能が働く場合は良かったのですが、そうでないことも多々あり、ダイダは王としての信念から、その選択が正しいのかずっと葛藤し続けます。
そのような葛藤、その暗闇の中で、ミランジョの幼い頃の心の傷を知ることになり、大変心を痛めます。完全に悪い、完全に正しいという人はいないというのがこのあたりエピソードにも盛り込まれています。
ダイダは、魔法の鏡が指示する儀式を遂行していきました。そして亡き父親の力を引き継ごうと城内にある秘密の地下室へ足を踏み入れていくのでした。
その独特の儀式は進み、終盤になり、出来上がったドリンクを飲めば力を得られるところまで進行したのでした。
そして、まさにこの時にいいひとになりつつあったダイダの直感が働きます。「今、このドリンクを飲むと不吉な事が起こる・・・まずい・・・ダメダメ」…そう感じたダイダは自身の力で王様ランキング1位の獲得を目指すと改心していきます。
彼にとっても、罠にはめられていたボッジにとってもこの王様ランキングというのは、目標でもあり、心のよりどころである聖書みたいなものでもあるのが良く伝わる場面ではありました。
方や、ついに再会したボッジとカゲでは新しい冒険が始まっていました。
ボッジが忠臣と思っていた王国一の剣士ドーマスの裏切りにより底無しの大穴へと落とされてしまったのでした。そしてカゲのいう「ボッジを最強にしてくれる男」へ会いに行くことになります。
この冒険は大変危険なものでした。途中には様々な障害が立ちはだかる中で、命がけで会いに行った冥府の王・デスハーは、目的の人ではありませんでした。
そして正しい情報を確認して、本当に会うべきはデスハーの弟・デスパーであることがわかりました。
えっ、ここまで来るのは大変だったのにという思いが、読んでいる我々の方にも伝わる場面でした。
気を取り直してデスパーに会いに行くことに方針変更をしてさらなる冒険の旅が始まります。
そうしてやっと会えたデスパーは、ボッジに自分にあう武器を自分で選ばせてとんでもない修行を開始するのでした。
「巨人の息子であるのに腕力が皆無」という主人公が強くなる手段が果たしてあるのかというのが改めて問題提起される場面ではありました。
亡き父親、ボッス王のような超人である王様を目指すボッジでしたが、特殊な能力でボッジの潜在能力を見たデスパーは生まれ持った膂力がボッジには備わっていない事を知り、その旨を伝えます。
ここは少し悲しいところでした。
しかしながら、救済策を提案してくれるのが、デスパーでした。デスパーの所有する武器庫で自分の特性に見合った武器を選択してみろということになり、伝えるデスパー。
豪傑を思い描くボッジでしたが扱えない事は明白。今までの価値観を捨てて自分にピッタリの武器を見つける事に成功するボッジ。
今までの価値観を捨てて自分にピッタリの武器を見つけるボッジなのでした。
力を追い求めていたが、力は無くとも知恵で強くなる事は可能だと悟りに近いものを獲得し戻ってきたボッジと自力で王様になるべき正しい道を選択したとダイダが再開するのでした。後継者問題は・・・
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感想
王様ランキングは3巻に限らず、ゆるい話が多いです。
その為に子供に読ませても、理解しやすい事もあり買い与えていますが、親の方が読んでいて泣いてしまうようなことがあります。
特にダイダとボッジの兄弟の絡みの話はわくわくして読んでしまいます。
アベンジャ-ズのソーとロキのような、キャラ建てが出来ているとわかりやすいのでしょうが、そうでないのが良いです。
最初はダイダは憎き悪人かと思って読んでいたら、そうではなく、いい人だったりするので、ほろりとさせられてしまうことがありました。まあ完全な悪人がほとんど出てこないのがいいです。