第7話 夏祭り
夏真っ只中、熱さにぐだる智は一度めの夏休みを思い出す。バンド練習に勉強会、みんなで過ごしたあの騒がしい毎日を。すると智の携帯が鳴り、確認すると、燐からメンバーにあてたメッセージが。練習後、花火大会に全員で参加しようという内容だった。
そして花火大会にバンドメンバーと瑛子で訪れる。楽しい雰囲気の中、智は燐と目が合わないことを気にしていた。一度めの時は微笑み合った場面も意識的に話をそらす燐に違和感を覚える智。明らかに避けられている。花火があがるのを、ブルーシートを広げて待つ一同。そんな中、携帯が鳴り、その場を離れる瑛子。すると燐が突然、智にたこ焼きを買ってきてとねだる。仕方なく、たこ焼きを買いに行く智。
たこ焼きを買って戻ると、メンバーたちはブルシートからいなくなっていた。そこに同じ状況で残され皆を探しに行っていた瑛子が戻ってきた。電話をしても誰もつながらない。仕方なく、ブルシートで皆を待つ二人。
そしてついに花火があがってしまう。一度めは皆で眺めた花火。しかし今回は皆は別の場所で花火を眺め、智は瑛子と花火を見上げることになった。燐は智と瑛子が想い合っていると考え、あえて皆を連れ別の場所に移動していたのだった。
その後合流し、瑛子が皆をお説教したのち、和気あいあいと帰りながらも、燐は智を一度も見ることはなかった。
後日バンド練習を見るスタジオの店長は、違和感に気づく。ボーカルとギターが全然かみ合っていないと…その夜、河原で考え込む燐に瑛子は尋ねる。
「篠原君と何かあった?」
はぐらかす燐。続けて瑛子は尋ねる
「だってあなた、篠原君の事が好きなんでしょう?」
「好きじゃないよ」
と答える燐。
「会長こそどうなの?せっかく花火大会でお膳立てしたのに」
と切り返す燐。
その言葉に智が自分に気持ちなどないことを感じている瑛子は燐につかみかかる。
「なんでも勝手に決めつけて何様のつもり⁉あなたのせいで篠原君は気づいているのよ⁉好きなら好きとはっきり言えばいいじゃない!」
その言葉に燐は声を荒げる。
「本当の事なんか言えないよ!」
そして涙を浮かべつぶやく。
「きっと前に進めなくなる…智君も…みんなだって…」
そして立ち上がり遠くをみつめ燐はつぶやく。
「伝えちゃいけない気持ちってあるんだよ。」