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聴覚に障害をもつ少女といじめた少年の考えさせられる漫画「聲の形」あらすじ・見どころ・感想

作品概要

漫画「聲の形」は大今良時さんによる社会派学園漫画です。2013年から2014年にかけて週刊少年マガジンで連載されていました。コミックスは全7巻。アニメ映画化もされており、様々な賞も受賞しました。障害者を扱った漫画としては、最もヒットした部類と言えます。

登場人物紹介

石田将也

本作の主人公。小学生時代は、典型的ないじめっ子タイプで、転校生で、耳が聞こえない障害を抱えた西宮硝子を仲間たちと一緒にいじめます。しかし、そのいじめがあまりに度が過ぎてしまい、お金が発生する事態となったため、仲間たちから裏切られ、逆にいじめを受けるようになってしまいます。その後は、そんな自分を見捨てず、逆に友達になろうとしてくれる硝子の優しさに気が付き、彼女への罪を償うことを決意します。

西宮硝子

本作のもう1人の主人公であり、ヒロイン。聴覚に障害を持っており、そのおかげで同級生と馴染めず、何度も転校を繰り返していました。将也からいじめを受けた後は、支援学校に編入しますが、そこでも暗い時期を過ごすことになります。しかし、再会した将也と過ごすことで、人との輪が広がり、世界が開けていきます。

植野直花

将也の小学生時代のクラスメイト。将也と共に硝子に対していじめを行っていましたが、将也が吊るしあげられたときは、自分に火の粉がかかるのを避けるため、裏切ってしまいます。実は直花は将也に好意を寄せていましたが、彼がいじめられるようになってからは、助けることができず、傍観していました。将也と再会した後は、再び交流を持ちますが、悶々とした気持ちを抱えて苦悩します。

あらすじ

あらすじとしては、まず石田将也達の小学生時代が描かれます。そこでは、クラスの中心人物であった将也が、転校生の西宮硝子をいじめたことがきっかけで、クラスのカーストの最下層に落ちてしまうという話が展開されます。

その後、将也は残りの小学生時代、中学生時代、高校生時代を暗いまま過ごすことになり、孤立します。自殺なども考えましたが、硝子に謝罪することを思いつき、手話を学んだりしながら硝子を探します。

なんとか再会した後は、硝子に尽くし、また自分のトラウマとなった小学生時代の出来事とも向き合いますが、その流れの中で過去の友人や新たな友達と出会い、世界に再び明るさが戻ります。

硝子も、自分に献身的に尽くしてくれる将也のことが気になっていき、2人はお互いに自分の気持ちに向き合えないまま、好意を寄せ合います。その後、様々な出来事から関係が壊れそうになりますが、それを互いに乗り越えていくことで、想いを伝え合い、ついに歩み寄ることになります。

最終回では、将也と硝子、そして周りの友人たちも含めて、それぞれの行く道を見つけ、苦悩しながらも生きていく様子が描かれます。全編を通して、人間の醜い面が多数描かれており、障害に関して、友情に関してなど、色々なことを考えさせられる内容となっています。

見どころ

見どころは、読むのが辛くなるほどの人間の醜さです。障害や、いじめといった問題を赤裸々に描いており、小学生、中学生、高校生、それぞれの立場での等身大の感情が表現されています。

小学生のときの深く考えたものではない悪意、そして中学生、高校生時代の、それまで形成された人間性から再スタートすることができず、ズルズルと人間関係を作れないままになってしまう様子など、特に石田将也を通して、人間の弱さが描かれている印象です。誰しもが、学生時代、いじめを受けた、した経験というものがあると思いますが、その時に生まれる感情などかリアルに表現されているため、人によっては過去のトラウマが呼び起こされたりして、辛くなるかもしれません。

そんな、人間の醜さ、弱さをオブラートに包まずにそのまま表現した作品で、そこが魅力でありみどころであると言えます。

感想

感想としては、私自身、過去にいじめを受けた経験、いじめをした経験両方を持っていて、この作品の序盤を読んだとき、心臓を掴まれて揺さぶられるような嫌な感じに襲われました。

このリアルな描写は、作者が比較的若いこともあり、未だに学生時代の感覚を忘れていないために出来るものなのだと感じます。

みどころの項目でも書きましたが、いじめの描写、そしてその後の将也の暗い学生生活は、人によっては辛いトラウマを呼び起こされることもあるため、ページを読みすすめることが出来ないという方も出てくるかもしれません。

物語としても、主要人物達は自分なりに気持ちに整理をつけて、前を向くことができますが、中には問題が解決しないままの人物もいるため、スッキリしない感情も出てくるでしょう。

読んだあとに爽快感が残るというよりは、なんだかズンとした重さを感じる内容なので、漫画をリラックスの方法として考える方には合わないと思います。逆に、漫画を通して色々なことを考えるのが好きだと言う方には、合っていると思います。