革命に散った二つの薔薇「ベルサイユのばら」

概要

漫画「ベルサイユのばら」は「池田理代子」による史実に基づくフィクション漫画。1972年から73年まで 週刊マーガレットにて連載。全10巻。1974年に宝塚劇団による初のミュージカル公演。1979年から80年までテレビアニメとして放映。1979年に実写映画化。


登場人物紹介

オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ

身長:178cm 体重:58kg 女性として生まれるが男性として育てられた男装の麗人。跡継ぎが生まれなかった貴族ジャルジェ家の跡取りとして育てられる。王太子妃の近衛兵として選ばれ、マリー・アントネット王妃を護衛する。王妃の恋人フェルゼンに思いを寄せるが、のちに決別する。普段は冷静沈着だが、カッとなりやすい性格でもある。また、女でありながら男として生きていく事に葛藤する面もある。負けん気が強いが、正義感も強い。



アンドレ・グランディエ

ジャルジェ家に仕える、ばあやの孫でオスカルの従者で幼馴染。オスカルを愛するも、平民であるため身分違いの恋に悩む。優しく、穏やかな性格。祖母に身分不相応な態度を窘められる事があるが、仕事に真面目に取り組むので、主人であるオスカルの父やオスカルからの信頼も厚い。



マリー・アントワネット

ルイ16世の王妃で、美しく人を引き付ける魅力を持つ。性格は子どもっぽく、若くして政略結婚をさせられたため、享楽的に生きる傾向にある。フェルゼンとのかなわない恋を嘆く。子どもが生まれてからは王妃としての自覚も芽生えたかのように見えるが、民衆を敵に回したため悲劇的な結果を招く。



ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン

スェーデンの貴族で、マリー・アントワネットに恋をする。オスカルを親友と思っているが、女性である事やオスカルがフェルゼンを恋しく思っている事を決別する寸前まで知らない。一途な性格で、アントワネットを思う気持ちは揺るぎがなく、信念に忠実な好青年。



ロザリー・ラ・モリエール

下町育ちの娘で、オスカルに拾われる。亡き母の復讐のために、ジャルジェ家で貴婦人としての教育を受ける健気な娘。オスカルを女性と知りながらも恋慕していて、結婚後もその思いは消えておらず、夫が嫉妬するほど。持前の一途さや愛らしさで、オスカルからも妹のように愛される。



あらすじ

14歳でフランス王太子ルイ16世に嫁いできたマリー・アントワネットは、スェーデンの貴公子であるフェルゼンに恋をする。財政が苦しいのにも関わらず、王妃マリー・アントワネットはオシャレや遊び、宝石などに浪費を重ね、民衆からの怒りを買う。若い王妃の行く末を心配しながら見守る近衛のオスカルもまた、王妃を慕うフェルゼンに恋をしている。しかし、フェルゼンはオスカルが男装の女性である事を知らない。女でありながら、男として生きる事を選んだオスカルを献身的に支えているアンドレも、オスカルに恋している。が、オスカルはアンドレの気持ちには気づいていない。パリの民衆の暮らしはひどくなるばかりで、現状を憂いたオスカルは近衛隊をやめ、衛兵隊となる。隊をまとめたオスカルに舞い込んだのは結婚の話だった。結婚の話が持ち上がったことで、アンドレへの気持ちを自覚し始めるオスカルだったが、重圧に耐えきれなくなった民衆の革命がもうそこまで来ていた。ついに暴徒が街を荒らしはじめ、衛兵隊に出勤の命令が下される。貴族という理由で暴徒に襲われたオスカルは、アンドレを愛している事を自覚する。オスカル率いる衛兵隊は、民衆の側に立ち国王軍と戦うが、オスカル、アンドレ共に銃弾に倒れる事となる。国王を倒した民衆は王妃であるアントワネットを処刑。アントワネットを救おうと奔走するフェルゼンだが、アントワネッを助けられず失意に暮れ、帰国後に冷酷な支配者となったため、民衆に惨殺される。



見どころ

不朽の名作であるベルサイユのばら、見所は何と言っても主要キャラクター5人の恋愛模様です。アントワネットとフェルゼンは両想いにも関わらず、健気に純粋に相手を想い、報われない恋に悩んでいます。そんなフェルゼンを想うオスカルは、男装しているために好きな相手から女性としては扱われず、男性とそん色ない仕事ぶりをしているのに中身は恋する一途な乙女です。一番近くでオスカルを見守って支えているアンドレの気持ちに気づかないオスカルと、自分の気持ちを伝られないアンドレ。オスカルを同じように慕うロザリーも純粋で素直ないい子です。キャラクターそれぞれが悩みを抱えていて、恋をしています。単なる恋愛物語だけでなく、フランス革命が起きる過酷な時代を生きる恋人達の物語だからこそ、今も多くの人を引き付けているのだと思います。



感想

ベルサイユのばらですが、48年前の作品なのに今読み返してもはまります。私が子どもの頃に読んだ時は、あまりフランス革命についてよく知らず純粋に恋愛漫画として楽しんでいました。学校でフランス革命を勉強する前にもう一度読んでおきたかったなと思うほど、歴史の入門としてもいい漫画だと思います。マリー・アントワネットもきっと普通の女の子と同じように恋がしたかっただろうし、オスカルももし女として育てられていたら、と何度も想像したに違いないなんて事を考えながら読むと、より物語を楽しめます。中盤からクライマックスに向かって加速度的に物語が進んでいくので、エンディングでアントワネットが処刑される事を知っていてもはまって読んでしまう。そんな作品です。