メタルへの先入観が半端ない!超人気漫画『デトロイト・メタル・シティ』

概要

漫画「デトロイト・メタル・シティ」は、 若杉公徳による青年漫画(音楽漫画・ギャグ漫画)。
2005年9月から2010年4月まで連載。 掲載誌はヤングアニマル(白泉社)、単行本は全10巻。2008年にアニメ化、及び実写映画化。

登場人物紹介

根岸 崇一(ねぎし そういち)

主人公。ポップでおしゃれな音楽が好きで、ミュージシャンとして活動する23歳の青年。童貞である。
大学生時代、憧れの女の子に自作の曲と演奏を褒められた事をきっかけににプロを志してレコード会社にデモ音源を送ったことをきっかけにデビューする。
しかし彼が望むポップ・アーティストではなく、何故か白塗りのデスメタルバンドのメンバーとなり、「ヨハネ・クラウザーⅡ世」としてカリスマ性を発揮していく。

相川 由利(あいかわ ゆり)

本作のヒロイン。23歳で根岸の元同級生。162cm、体重48kg、血液型O型、胸のサイズは86cm(Dカップ)。
根岸のあこがれの女の子で、才色兼備の美女だが、かなりの天然ボケで、根岸とクラウザーが同一であることに気付いていない。根岸の愛読するお洒落な雑誌「アムール・アモーレ」の編集者をしている。

デスレコーズ社長(本名不明)

根岸をデスメタルの世界に無理矢理入れ込んだ女性。奇抜なファッションと飲酒・喫煙描写が多いのが特徴。
性格は凶暴で暴力的だが独特なセンスで根岸をデスメタルのカリスマにプロデュースしていく。物事の良し悪しを「股間が濡れるか否か」で判断する。

あらすじ

おしゃれで、かわいらしくて、ポップな音楽や生活スタイルに憧れるジェンダーレス男子風の主人公・根岸 崇一が、大学進学を機に九州から上京する。
実は密かに自分の好きな音楽で生計をたてたい、おしゃれなミュージシャンになりたい、という夢を抱いていた彼は同級生の女の子に自作曲を褒められたことをきっかけにレコード会社と契約してプロの道を志す。
しかしレコード会社兼音楽事務所から求められた音楽は、なぜか根岸がやりたい音楽とは正反対のデスメタルだった。
彼は「悪魔系デスメタルバンド・デトロイト・メタル・シティ」のギター・ボーカル「ヨハネ・クラウザーⅡ世」としてデビューされられることになり、何故か秘められた才能がそこで開花し、自身の意思とは関係なく悪のカリスマとして君臨してしまう。
初期は一話完結ものが多く、ポップスアーティストとしては大学時代の同級生・相川由利以外に相手にされない根岸であったが、己の中にあるクラウザーを好ましく思っておらず、それを否定しようと行動するほど「クラウザー的で」クレイジーな行動となってしまい、思ってもいない方向で崇拝されてしまう、という流れが定番のギャグ漫画である。徐々に家族との交流?やフェスへの参加、海外進出などバンドが大きくなっていく様子が描かれる。

見どころ

強烈な個性を持つバンドメンバーや共演者の行動、そして何といってもクラウザーのキャラクター(と根岸とのギャップ)が見どころです。
1秒間に10回「レイプ」と発音できる、などといったようなとんでもない「間違ったメタルバンド」の描写にはじめは失笑しつつも、結局は笑えてしまうのが不思議です。
実際のメタルファン達には顰蹙を買ってしまったというDMCファンの狂信的な様子にも注目。実際にこの作品を読んでメタルに興味を持つ人はさほどいないでしょう。音楽を崇高な存在として特に過大評価しない辺りに新鮮味のある作品です。
下ネタ多めですが、音楽漫画を読まない人でも良くも悪くも頭を空っぽにして読むことができる作品です。

感想

音楽を題材にした作品ながら、音楽に特別な思い入れのある作者であれば描くことが出来ないだろうと思われるギャグ漫画です。
タイトルが「デトロイト・メタル・シティ」ということもあり、注目されがちなのはメタルバンドやメタルファンの描写ですが、実はメタルもおしゃれなポップスも同じくらい作者による少し遠目からの目線で描かれていることが面白いです。
「よくわからないけど、こんなイメージ」というノリで描かれたメタルバンドやポップスアーティストのイメージを、「いや、違うでしょ」と思いながらも何となく納得できてしまうので、笑えてしまいます。
個人的には根岸くんの帰省話でゲラゲラ笑ってしまいました。 小・中学生的な下ネタ満載ですので、色々と笑って許せる大人な紳士淑女にはオススメします。