高野苺作「orange」泣けるSF・青春・恋愛漫画!ネタバレ・あらすじ・感想

概要

高野苺の作品「orange」はSF要素の入った恋愛青春漫画です。2012年に別冊マーガレットで連載が始まり、その後月刊アクションで不定期に連載されていました。単行本は全6巻からなります。また2015年に土屋太鳳主演で映画化され、山崎賢人や竜星涼など今をときめく若手俳優が出演しています。

登場人物紹介


高宮 菜穂(たかみや なほ)

「orange」の主人公で、転校生の翔に思いを寄せる女子高生。未来の自分から手紙を受け取り、そこに書かれた運命を変えようと奮闘する。未来では須和と結婚し子供をもうけている。


成瀬 翔(なるせ かける)

菜穂らの高校に転校してくる男の子。須和や菜穂と仲良くなるが、どこか一線を引くような暗い影をもつ。母親を亡くし、おばあちゃんの家に住んでいる。17歳の冬に自らトラックに飛び込み、自殺をしてしまう。


須和 弘人(すわ ひろと

菜穂に思いを寄せるクラスメイトで翔の友達。菜穂と同じように未来から手紙を受け取り、未来を変えるために行動する。サッカー部に所属し明るく優しい性格で、未来では菜穂と結婚し子供がいる。

あらすじ

ある日、高校生の主人公・菜穂に10年後の未来の自分からの後悔の手紙が届きます。そこには「翔が死んでしまうこと。翔がいない未来を変えてほしい。」という驚きの内容が書かれていました。

はじめは悪戯だと思う菜穂ですが、本当に翔が転校してきたり菜穂が翔を好きになったりして、手紙に書かれた内容がどんどん現実になっていくことで信じるようになります。

手紙の内容に従い、自分なりに解釈を加えながら未来を変えようと1人頑張りますが苦戦する菜穂。また翔は事故死などではなく自殺である可能性が出てきて菜穂は戸惑ってしまいます。

そんな中、同級生の須和にも未来の自分から同じ内容の後悔の手紙が届いたこと、その他3人の仲間にも未来からの手紙が届いていたことを知るのです。

5人は協力して翔のいない未来を変えようと奮闘します。しかし翔は母親の自殺の原因が自分にあると思い悩んでいて、自分を責め続けていました。

翔が自殺に突き進む大きな要因であった体育祭では5人が協力しリレーに出場。バトンと共に翔にメッセージを伝えるなどして、楽しい思い出を作ることに成功しました。

全てが良い方向へ進んでいた矢先、翔は菜穂と喧嘩をして距離が出来てしまします。その間に翔は再び心を閉ざしたようでした。

バレンタインデーの日、菜穂は翔に気持ちを伝え2人は付き合うことになります。そして翔が死んだとされる日を迎えた5人は事故現場へ行きますが、そこに翔の姿はありません。

過去を変えたことで翔が自殺をする場所も変わってしまったのです。

しかしトラックに飛び込む直前で、翔は自殺を思いとどまっていました。そして翔と5人は未来の自分たちへ向けてタイムカプセルを埋めたのでした。

見どころ

10年後の未来の自分から菜穂に届く後悔の手紙から、翔の心の闇を解きほぐして自殺を食い止めることができるのか、そこが「orange」の1番の見どころになっています。

そして高校時代には翔に思いを寄せる菜穂、菜穂に思いを寄せる須和、須和と翔の友情という複雑な3角関係がせつなく描かれているのに、10年後の未来に翔はおらず、菜穂と須和が結婚しているという驚きの展開になっています。

3人が過ごす10年間に何が起きたのか想像をめぐらせることが出来るところもこの作品の素晴らしさです。

感想

高校時代を舞台とした甘酸っぱい王道の青春物語というだけではなく、過去と未来というだいたんなSF要素が加わるっていることに最初は抵抗を感じます。

しかし読み進めていくうちに、過去と未来というSF要素に違和感がなくなって、逆にストーリーを何倍にも奥深くせつない効果を与えているなと思いました。

また翔の自殺をとめるため仲間が力を合わせる友情物語でもあり、大人でも号泣必死な作品だと感じました。とても読み応えがあって面白かったです。