SF漫画、いや漫画界の金字塔「AKIRA」あらすじ・見どころ紹介!

作品概要

漫画「AKIRA」は大友克洋によるSF漫画。1982年から1990年にかけて、講談社の週刊ヤングマガジンにて連載(途中、アニメ映画制作に伴い中断あり)。全6巻。1988年に大友克洋自身の監督・脚本でアニメーション映画化。同年にタイトーによるゲームも発売(ファミリーコンピュータ)。2019年、新アニメ化プロジェクトが発表された。

登場人物紹介

金田正太郎

「AKIRA」の主人公。ネオ東京の職業訓練校の生徒。暴走族チームのリーダー格で、自称「健康優良不良少年」。運動神経が高く、情に厚い面があり、仲間からの人望を集めている。もう一人の主人公、島鉄雄とは幼馴染で、いじめられ易い鉄雄を庇う兄気分的な存在でもあった。

島鉄雄

「AKIRA」のもう一人の主人公。金田の幼馴染で、同じ職業訓練校に通っている。金田たち暴走族チームの仲間とオートバイで暴走中、タカシと衝突し、負傷する。このことがきっかけで、超能力が覚醒。能力の爆発的な増大により、世界を翻弄するほどの力を手に入れてしまう。

タカシ

26号とも呼ばれる。軍による先の世界大戦以前の極秘研究プロジェクトの実験体。一定以上の超能力を持つ実験体には番号が付けられ、掌にその番号が刻印される。投与された薬の影響で、8歳で成長が止まり、老化だけが進行した。軍の研究施設から脱走して鉄雄と衝突事故を起こし、鉄雄の超能力覚醒のきっかけとなる。

アキラ

28号とも呼ばれる少年。軍による先の世界大戦以前の極秘研究プロジェクトの中心的存在。1982年に覚醒、超能力の暴走によって東京を崩壊させたため、軍の厳重な管理下にある施設で、極秘に冷凍封印されていた。その存在に強い関心を持った鉄雄により、連れ出されてしまう。

ケイ

反政府ゲリラのメンバーの美少女。同じゲリラのメンバーである竜と共に、軍による極秘研究プロジェクトの秘密を追っている。兄の後輩である竜を慕っている。軍との争いで窮地にいたところを、偶然居合わせた金田に救われ、行動を共にすることになる。

ミヤコ

ミヤコ教団を率いる老婆。かつてアキラの力により視力を失うが、強い感応力で人の視覚を共有することができる。元ナンバーズでもある。鉄雄を止めるため、ケイを含め多くの人に助言を与えたり、導いたりして奮闘する。

あらすじ

1982年、関東地方で新型爆弾が炸裂し、東京は壊滅。これがきっかけとなり、第三次世界大戦が勃発ーーそして、2019年。世界は再建途上にあった。東京湾に建設された新首都「ネオ東京」では、繁栄する一方で反政府デモ隊と警察が衝突するような騒然とした状態が続いていた。2020年の東京オリンピックを控え、旧市街(かつての東京)も、再開発が進められようとしていた。ある日、金田をリーダーとする暴走族チームは、旧市街へと続く進入禁止のハイウェイをバイクで暴走していた。先頭を走行中の鉄雄は、突然現れた白髪の老人のような少年を避けきれずに事故を起こし、負傷する。白髪の少年と鉄雄は、直ちに現れた軍のヘリによって連れ去られる。金田は鉄雄を探す中で、少女ケイと出会う。彼女は反政府ゲリラのメンバーで、軍による極秘研究プロジェクトの秘密を追っていた。その頃、鉄雄は軍の研究施設で強力な薬を投与され、超能力が覚醒しつつあった。施設から出てきた鉄雄は、凶暴な性格に豹変し、金田とも衝突。敵対していた暴走族チームのリーダーになった鉄雄は、他の暴走族への攻撃を開始、やがて暴走族同士の大規模な抗争に発展。しかし、超能力覚醒に伴う激しい頭痛に悩まされていた鉄雄は、それを抑えるための強力な薬を提供される見返りに、軍の超能力研究に協力することになった。大佐によって軍の研究施設「ラボ」に連れて行かれた鉄雄たち。そこには、老人のような子供たちが住んでいた。その中には、鉄雄のバイク事故の原因となった「タカシ」もいた。彼らは、先の世界大戦以前の極秘研究プロジェクトで超能力を開発された実験体、「ナンバーズ」だった。薬を大量に投与され、超能力を覚醒させつつあった鉄雄は、研究の中心的存在で、極秘に冷凍封印されている「アキラ」(28号)に強い関心を持ち始める。一方、予知能力を持つ「ナンバーズ」のキヨコは、アキラの目覚めとネオ東京の崩壊が間もなく起こることを大佐に告げる…。

見どころ

鉄雄が力を手にしたことにより、まるで今までの弱い自分を拒絶するかのように山形を殺すシーンは衝撃を受けます. アキラの暴走シーンも見どころの一つです。あんなに小さくて静かなアキラが放つ力の大きさが凄すぎる!最後の方は鉄雄と金田の情のようなものを感じ、切なくなります。幼なじみだった2人に訪れる別れの瞬間。金田が理解したのは鉄雄の孤独でした。あの時、手を差し伸べていたら…違った未来があったのかもしれませんから…。そして圧倒的な画力とまるで映画のようなコマ割などで「大友以前、大友以後」と言われるほど、1980年代以降の漫画家に影響を与えた大友克洋。ペンタッチに頼らない均一線によるリアルな描画、複雑なパースによる画面構成、斬新なメカデザイン…本作ではその真骨頂が発揮されています。本格的なサイバーパンクSFの世界が、緻密でリアルな描写により、説得力を持って体感できます。特に後半は、必見!また、現実にも2020年に東京オリンピックが開催されることになり、この作品は「予言していた」と注目を浴びました。2019年、新アニメ化プロジェクトも発表され、今後が期待されます。

感想

一枚一枚が芸術品のように美しく、何度も読み直すと言うより、思わず見入ってしまうような作品でした。小さな画面に、全世界が入っている!複雑なサイバーパンク的物語は、このリアルな絵がなかったら、自分にはよく分からなかったかも…。連載から数十年が経過した今、読み直すと、暴走族、超能力、デモ隊など、どこか懐かしい昭和のイメージで、タイムカプセルを開けたようでした。また、鉄雄と金田の確執、力を持ってからの鉄雄の暴走など、少年の成長物語として普遍的な面もあったのだなと思いました。SFジャンルだけでなく、漫画の金字塔。