「坂道のアポロン」ほろ苦い青春の輝き、ジャズが繋いだ美しい友情の物語

坂道のアポロン ~概要~

漫画「坂道のアポロン」は、小玉ユキによる日本の漫画。2007年より「月刊フラワーズ」より「フラワーコミックスα」にて連載。全9巻+番外編1巻。映画化の際の主題歌は小田和正「坂道を上がって」。2018年に東宝で映画化公開。

坂道のアポロン ~登場人物紹介~

西見 薫(にしみ かおる)

高校生の薫は父の仕事のせいで転校ばかりの生き方をさせられてきた。頭もよく真面目な性格であるが陽気で人当たりはよくなかった。ストレスをためがちで、吐き気をもよおしてしまうことも多かった。坂道が嫌いでこの忌々しい坂と思っている。

川渕 千太郎(かわぶち せんたろう)

とても背が高く、ケンカっぱやい性格だが、ドラムにかけては本当にすごい集中力を見せる。そんな千太郎は叔父と伯母と子供二人と暮らしている。母がどこかへいっていない。クリスチャンで首にはネックレスをつけている。

迎 律子(むかえ りつこ)

千太郎の幼なじみである。学級委員としての一面があり、とても面倒見がいい性格。とても明るく人当たりがいいので好かれている。そばかすが多いのを気にしている。家が昔からレコード屋でムカエレコードという。

深堀 百合香(ふかほり ゆりか)

高校2年生だがとても品があり、大人びた印象を持った美人。家もお金持ちのお嬢様。でも快活で、気になったことは試すというような性格。美術部に入っている。

桂木 淳一(かつらぎ じゅんいち)

律子の家のお隣さんであり、お菓子屋を営んでいる。そのケーキ屋はしらゆりという。千太郎と仲がよく、千太郎は兄のように尊敬して慕っていた。大学へ通っていたが、学生運動の際に退学させられてしまう。トランペットが上手だ。

坂道のアポロン ~あらすじ~

西見薫は船乗りの父の仕事の都合でいつも転校ばかりの人生だった。1966年初夏、薫は長崎の佐世保に転校してきた。

転校したクラスで、学級委員の迎律子と出会う。律子は面倒見が良く、とても人当たりもいいので好かれていた。ちょっとしたストレスで吐き気を催してしまう薫は、気持ちが悪くなると屋上で気を紛らわせていた。律子に連れて行ってもらった屋上では、律子の幼馴染でケンカっぱやい問題児・川渕千太郎と出会う。薫の日常は、千太郎と出会ったことにより劇的に変化していく…。

ある日、律子の実家のレコード屋に行くと、そこでは千太郎がドラムの練習をしていた。千太郎にあのケンカ好きの様子はなく、とても上手にドラムを演奏していた。それに驚いた薫。薫はクラシック好きで、ジャズは品がないと思いながらも、レコードを買って聴くうちにジャズを好きになっていく。境遇が似ているので、段々と薫と千太郎は音楽のジャズを通して仲良くなる。

薫は律子を好きになるが、律子は千太郎に、千太郎は先輩である百合香に、百合香は千太郎が兄のように慕う大学生の淳一に思いを寄せていた。ある事件をきっかけに失踪してしまう千太郎。それぞれの思いの行方、薫と千太郎の友情は…!!

坂道のアポロン ~見どころ~

佐世保に来たばかりで、人間関係を上手く築けなくなっていた薫が坂道をのぼったときと、何年も経った後、大人になり同じ坂道をのぼったときの感覚の差が、大きくなった人間の幅を表しているようで感動します。

律子を思っている薫が、律子が千太郎のことが好きでもそれでもしょうがないと思い、キスをするシーンが切ないです。好きな人は何年たっても好きという薫の一途な感じが、性格が出ていていいと思います。

やはり学校でのいつもとちがう二人の演奏のシーンが素敵で感動しました。音楽はいいと思います。

坂道のアポロン ~感想~

好きな人が自分を好きになる確率は中々ないので、それぞれの気持ちが交錯してしまい、それが素敵な物語になっていると思います。でも高校生という多感な時にこういう素敵な出会いが出来るというのは素晴らしいことだと感じています。その時に両想いになれなくても時が経て気が付くこともあるのだと思います。青春を強く感じる爽やかな物語です。

家の状況が似ているというかストレスが多い中で共感できる部分が多く、悩み多き年ごろの男女を描いていてとても考え深い作品だと思いました。