概要
漫画「アクタージュ act-age」は原作「マツキタツヤ」漫画「宇佐崎しろ」による「演劇」漫画。2018年1月より集英社の「週刊少年ジャンプ」にて連載中。既刊9巻。「次にくるマンガ大賞2018」コミックス部門で5位。「全国書店員が選んだおすすめコミック2019」で3位。
登場人物紹介
夜凪景
16歳。5月15日生、身長168㎝。容姿端麗で運動神経も良いが独特な雰囲気を持っている為孤立気味。幼い妹と弟と暮らしており、賞金を得るために役者オーディションを受け、それから女優を目指す事となる。
百城千世子
17歳。4月1日生。芸能事務所「スターズ」に所属している国民的人気女優、「天使」の異名を持つ。自分の魅せ方を把握して、見る者の求める姿を見せる少女。天才に見えるが並みならぬ努力の上で成り立っている。
明神阿良也
21歳。10月10日生。劇団「天球」に所属している舞台男優。猟師を演じる為に狩猟免許を取り熊を獲るなどと言った徹底した役者作りをして舞台に臨む。日常生活では独自の世界観と言動で周りを困惑させる。
星アキラ
18歳。2月14日生。芸能事務所「スターズ」に所属しているイケメン俳優。社長である星アリサの息子。才能があるわけではないがルックスと運動神経の悪さを努力で克服している。周りの評価と自分の実力の差を悩んでいる。
黒山墨字
35歳。8月14日生。スタジオ「大黒天」に所属している映画監督。世界三大映画祭の全てに入賞している凄まじい経歴があるものの日本では無名。自分の取りたい作品の為に役者を探していた所、景を見出した。
あらすじ
3万人から選んだ役者オーディションの審査をしている黒山墨字は飽き飽きしていた。テーマ「悲しみ」を表現する参加者たちであったがどれもこれもロボットのように同じ顔。ひどい物になると顔を隠したり顔と体がばらばらであったりと見るに堪えなかった。そんな参加者たちの中に異質な少女がいた。涙を流しているわけではないが少女は確かに悲しみの中にいた。戦慄する黒山だったがもう一人の審査員は理解せずに少女へ注意をする。言っている意味が分らない少女だったが黒山の「バカでも分かるように演じろ」の一言で涙を流す。それが黒山と少女、夜凪景の出会いであった。景はオーディションに落とされる。気落ちするものの妹と弟の面倒を見なければならない。賞金が入らずバイトも首になって悩む夜凪。ふとした瞬間にこぼれる涙。それは辛いのではなくオーディションのテーマであった「悲しみ」が残っているからだとその感情をリセットする景、そんな姉を見て妹レイは恐怖を覚える。景をオーディションで落選させたことに怒る黒山。星アリサは景の演技、メソッド演技は最終的に身を亡ぼすものであるとして落選させたのだった。そんなアリサに「この世界で生きられない人間の幸せ」を見せてやると黒山は宣言した。スターズの最終オーディションに突如自体が出た。その欠員の代わりに景はオーディションを受けることになった。そこで社長の星アリサから出た課題は目の前にいる野犬。自分の感情を演じるメソッド演技のスキを突いた課題であったが黒山の状況補足により見事没入する景。ほかの参加者や役員にまで野犬の姿がみえるほどの演技を見せ、賞賛を一身に浴びるるものの結果は落選。落ち込む景であったがその前にスターズを辞め、スタジオ「大黒天」を立ち上げた黒山が現れる。撮りたい映画があり、仲間を探していると。
見どころ
この物語は芸能業界を生きる役者たちの話であるが、一方人間性を夜凪景が獲得していく話でもある。物語の当初はおよそ景は人間らしくない。感情のコントロールが常人と一切異なり、自発的に感情を表しているわけではないからだ。その為、幼い妹に行く末を心配されるほど人間として「欠けている」のである。そんな景が演技を通して感情を学び、他者との交流を持ち、友人を作った。果ては孤立していた学校でも居場所を作り、同級生の友人を作るまでに至ったのは驚くべき快挙と言える。話が進むごとに悩み落ち込み奮起する少女らしい成長を見せてくれるのはこの作品の見どころの一つと言える。そしてようやく出来た友人との対決、その過程や結果が今現在の最大の見どころである。
感想
この作品は連載初期から注目していました。演技・役者といった全く日常触れることがない題材を、少年ジャンプで連載するとはすごい胆力だと思った反面一話でガッツリのはまってしまってそれ以降ずっと追いかけています。景がとても魅力的なのは前提として、流石役者と言われるだけあって他のキャラたちもとても個性的で魅力的です。そのキャラたちの掛け合いや関係性から更に劇中で成長を遂げ、それを余すところなくしっかりと紙面に表現してくれるので見せ場のシーンは何度も読み返すほどです。特に「銀河鉄道」での景の成長、死者を演じるということを学ばせた巌、そしてその巌の為に舞台を成功させようと奮起する「天球」一同。悩みつつも自分の演じる役割の一つの答えを導き出したアキラのシーンは数あるエピソードの中でも印象に残っており、人に胸を張ってお勧めできるところです。