フランス語圏での漫画「バンド・デシネ」とは

はじめに

【作品】メタ・バロンの一族 (上・下巻)
【作家】フアン・ヒメネス

もはや世界で絶対的な地位を獲得している日本の漫画ですが、もちろん世界で読まれているコミックは日本の漫画だけでなく、アメリカのコミック「アメコミ」もとても人気が高く、日本の漫画ほどではないにしろ、大きな市場を保有しています。

そして日本ではあまり知られていないですが、フランス語圏では「バンド・デシネ」(フランス語:bande dessinée、略称:BD)と呼ばれるジャンル(フランス語圏では漫画全般を指す)が存在し、フランスでは9番目の芸術として認識されているほど、国民意識に浸透しています。

バンド・デシネの歴史

【作品】タンタンの冒険旅行シリーズ
【作家】エルジェ

19世紀はじめに、ロドルフ・テプフェールというスイスの風刺画家・教育者の作品が源流ではないかと考えられています。彼は絵と文によるコマ割り形式の長編の読み物という形で執筆し、1827年に執筆した最初の作品「ヴィユ・ボワ氏物語」は、各ページごとに4~6コマの上部に文を添えたイラストから構成される、30ページの作品でした。

1920~1960年においては、ベルギーの作家が活躍し、様々な著名な作家が輩出されました。
もっとも著名なベルギーの漫画の一つとして、エルジェの「タンタンの冒険旅行」があります。

第2次世界大戦の影響で、様々な苦難に晒されながらも、出版社や漫画家たちの活動により、1960年代フランスでバンド・デシネが再び活性化し始めます。しかし80年代末には出版不況や読者関心の低下、単行本人気からBD産業が下火になっていきました。

しかし90年代にはいるとBDの復興が始まり、絵画表現、物語表現がより芸術的に洗練されていきます。

21世紀に入ると、日本の漫画に影響を受けた作品が登場し、マンフラ (manfra) あるいはフランガ (franga) と呼ばれています。

バンド・デシネの特徴

『ムチャチョ―ある少年の革命』
エマニュエル・ルパージュ作

①サイズ
典型的な大きさはA4サイズかもう一回り大きいものになっています。

②ページ数
日本の漫画と比べると少ないページになります。平均的なもので48~64ページが多いようです。

③読む方向
読む方向は日本と逆で、左開きとなります。

④デザイン
絵画は作り込んだものが多く、オールカラーが一般的です。
そのため、次の作品が出るまで2~3年かかるというのは当たり前のようです。

最後に

フランス語圏では芸術作品の位置づけでもある「バンド・デシネ」是非一度読んでみてください。もちろん日本語に翻訳されているものが数多く売られていますので、AmazonやKindle,楽天などでも購入できます。ただ日本の漫画に比べてかなり高価なものです…しかし金額出すだけの価値のある魅力的な作品も多いので是非一度お試しください。