テーマは「毒親」。美しい母親・静子と従順な息子・静一。平和で穏やかな日常なのに、何かがおかしいー。読めば読むほどその狂気が明らかになります。

どこんにちは、ニケです。今日は鬼才・押見先生の描く話題作「血の轍」をご紹介します!

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「血の轍」作者:押見修造 【既刊5巻】

「血の轍」のあらすじ

主人公の長部静一は中学二年生。母・静子、父・一郎の3人で平穏に暮らしていた。

母親の静子は、誠一が幼いころから過保護なまでに愛情を注いで育てていた。

周りからは過保護だと言われる事もあったが、静子と静一はさほど気にしてはいなかった。


夏休み、静一家族は親戚家族と共にハイキングへ出かけた。

皆で汗をかきながら山道を登り、休憩がてら昼食をとっていると、従兄弟のシゲルが静一をトイレに誘う。

用を足した後、シゲルは「探検しよう」と静一を連れ出した。そして高い崖の近くまで来たのだが、そこで2人は口論になってしまう。すると、後ろから静子が現れた。

静子はシゲルに、危ないから崖から離れるよう促すが、シゲルは「ばっかじゃん、ほんと過保護だ」と静子をバカにする。そのとき、シゲルが崖から落ちそうになる。

静子はとっさにシゲルを抱きしめ助ける。しかし、静子の表情をみたシゲルは驚く。

次の瞬間、静子はシゲルを崖から突き落としたー。

一部始終を見ていた静一。しかし静子はずっと自分に背中を向けていたため、どんな表情をしているのか静一にはわからなかった。
静一は、恐怖と驚きで手が震えていた。

「血の轍」の感想・見どころ

とにかく画力が素晴らしいです。表紙は漫画というよりデッサンに近いような絵になっておりますが、中身の方も、トーンを使わずに影が線で描かれています。それがまた丁寧で見ごたえがあります。

登場人物も一人一人がすごく丁寧に描かれているのですが、中でも静子が美しすぎて魅了されてしまいました。

美しくていつも優しい表情を浮かべている静子。なのにメチャメチャ怖い。この怖さはぜひ読んで体験していただきたいです。
ちなみに少々ネタバレになってしまいますが、2巻の109ページで私は悲鳴を上げて本を閉じました。怖すぎる。

作品の題名「血の轍」ですが、「轍(わだち」ってあまり見かけない言葉ですよね。私は「轍」の意味を知らなかったので調べてみたところ、「車が通った後の車輪の跡」という意味らしいです。

「先人の行った道」という意味合いもあり、「轍を踏む」という使い方などするみたいです。この場合、「轍(てつ)を踏む」と読み、”先人と同じ過ちを繰り返す”という意味で使うようです。

さて、そうすると、「血の轍」とはどういう意味なのでしょうか…。これから明らかになっていくのかもしれません。

話は変わりますが、主人公の静一は、精神が不安定な状態になり、途中から「吃音(きつおん)」の症状が出てしまいます。

「吃音」とは、声がどもり、滑らかに話すことが出来ない発話障害の一つです。

実は、作者の押見先生も中学時代よりこの「吃音」を患っていたようです。

その為、人の表情や仕草から感情を読み取る力が発達したそうです。ご本人曰く、その経験が表情などを描く際に生かされているとのことです。

いや、本当にこの「血の轍」、登場人物の表情一つ一つに意味が込められているように思えて、台詞が無いコマも意味深なのです。

「目は口程に物を言う」ということわざがありますが、まさにそのとおりで、キャラクターたちの「目」が感情をものすごく表しています。

作者の押見修造先生について

押見先生は、他にも

〇デビルエクスタシー
〇漂流ネットカフェ
〇惡の華

など異彩を放つ作品を多々出されています。

ホラー好きな方でしたら、「デビルエクスタシー」はぜひおすすめです。
悪魔(美女)達が風俗店で働いていて、客の男たちの精力を吸い尽くすというホラー×エロな漫画なのですが、非常に面白かったです。
「漂流ネットカフェ」や「惡の華」も有名ですよね。
どれもクセになる作品ばかりですので、是非読まれてみてはいかがでしょうか?

以上、ニケがお送りいたしました。最後までお読みいただきありがとうございました。